米政府、モデルナ製mRNA鳥インフルエンザワクチン試験に資金提供で合意間近

AI要約

米政府がモデルナのmRNA技術を用いた鳥インフルエンザワクチンの後期臨床試験に資金提供することで合意に近づいている。

政府はファイザーとも協議しており、既存の鳥インフルエンザワクチンの有効性が低いことに懸念を示している。

鳥インフルエンザの感染が拡大している一方、CDCは人間へのリスクは低いとし、WHOは人間への広まりを懸念している。

米政府、モデルナ製mRNA鳥インフルエンザワクチン試験に資金提供で合意間近

牛や家禽(かきん)の飼育場でH5N1型鳥インフルエンザの感染が拡大する中、米政府は、米製薬大手モデルナのメッセンジャーRNA(mRNA)技術を用いた鳥インフルエンザワクチンの後期臨床試験に資金提供することで合意に近づいている。英経済紙フィナンシャル・タイムズが30日報じた。

同紙は匿名で取材に応じた関係筋の話を基に、「数千万ドル(約数十億円)」相当の連邦政府資金が、恐らく来月中にも米厚生省の生物医学先端研究開発局(BARDA)から拠出される見込みだと報じた。同局との契約には、治験が成功すれば備蓄分を買い取るという条件も含まれている。モデルナは先に、鳥インフルエンザワクチンの臨床試験を行っていることを明らかにしており、この試験の中間結果が間もなく発表される予定だという。

鳥インフルエンザワクチンを巡り、政府はモデルナと同じく新型コロナウイルスのmRNAワクチンを開発した米製薬大手ファイザーとも協議したと報じられている。

米食品医薬品局(FDA)が承認した人間用の鳥インフルエンザワクチンはすでに存在し、政府はH5N1型変異株用のワクチンを数千回分備蓄している。必要であれば、約5000万人分のワクチンに相当する1億回分以上を、3~4カ月以内に用意することができる。だが、現在感染が広がっているH5N1型変異株に対する現行のワクチンの有効性は低いとみられている。

米農務省は昨年、H5N1型鳥インフルエンザの動物用ワクチンの臨床試験を開始した。同省は29日までに、テキサス、カンザス、ニューメキシコ、ミシガン、アイダホ、ノースカロライナ、サウスダコタ、オハイオ、コロラドの9つの州で、67の乳牛群からH5N1型鳥インフルエンザを検出した。

乳牛の間で鳥インフルエンザの感染が拡大していることが懸念される中、米疾病対策センター(CDC)は、同ウイルスが人間にもたらすリスクは依然として低いとしている。これまでのところ、同ウイルスの人間への感染例は限られており、鳥インフルエンザの世界的な大流行は起こらないとする専門家もいる。一方、世界保健機関(WHO)は、鳥インフルエンザが哺乳類に感染する事例が増えていることから、同ウイルスが人間の間で広まる脅威は依然として「大きな懸念」だとしている。