フィリピンで猛暑、農家悲鳴 雨も降らず「もう無理」

AI要約

太平洋赤道域東部でのエルニーニョ現象により、東南アジア諸国が猛暑に見舞われている。フィリピンではマニラで最高気温が36度以上を記録し、農家たちが作物の栽培が困難になっている。

ワングワン村の農家たちは暑さのために収穫量が減少し、補助金の不足に不満を抱いている。政府は何らかの対策を検討しているが、農家の支援は不透明である。

農業部門の損失額は既に63億ペソに達し、政府の支援策が待たれる状況だ。

 【ワングワン(比)時事】太平洋赤道域東部の海面水温が上昇するエルニーニョ現象の影響で東南アジア諸国が熱波に襲われ、フィリピンでも3月中旬以降、猛暑が続いている。

 首都マニラでは最近1週間余りで複数回、最高気温が36度以上を記録。山間部の農家から「この暑さでは農業は無理」と悲痛な声が上がっている。

 ルソン島北部イフガオ州の山間部にあるワングワン村で、キャベツなどを作っているロバート・タヤバンさん(50)は「借金をして苗を購入したが、いつもより気温が高くて今季はもう無理。4月下旬までほぼ半年間、雨もほとんど降らなかった」と弱り切った様子。現在は家族を養うため、一時的に建設現場で働く。他の農家も栽培を諦め、清掃の仕事などで収入を得ているという。

 近くの村でキャベツを栽培する男性(30)も「昨年の収穫量は24トンだったが、今年は16トン。3割強も減ってしまった」と嘆く。大幅な減収は避けられないが、「政府からの補助は何もない」と不満をあらわにした。

 比農業省によると、農業部門の1月以降の損失額は既に63億ペソ(約170億円)。政府は近く何らかの対策を講じる意向を示しているものの、農家の期待に沿う支援策を打ち出せるかは不透明だ。