プーチン氏、国内の米国資産の没収認める大統領令に署名…米国が進める露資産活用に対抗か

AI要約

ロシアのプーチン大統領が、米国がロシアの資産を没収した場合に対抗措置として、ロシアが米国の資産を没収する大統領令に署名した。

大統領令によると、ロシアの企業や中央銀行などは、米国から没収された資産に対し裁判所に訴えることが可能で、その資産を損害賠償に活用できる。

欧米が凍結した露中銀の資産は膨大な額であり、その活用については国際的な協議が進められている。

 タス通信などによると、ロシアのプーチン大統領は23日、米国が同国内にあるロシアの資産を没収した場合、ロシアが米国の企業や個人が露国内に保有する資産の没収を認める大統領令に署名した。米国などでウクライナ侵略に伴い凍結したロシアの資産をウクライナ支援に活用する議論が進んでおり、その対抗措置とみられる。

 大統領令によると、ロシアの企業や中央銀行などは、米国内にある財産を没収された場合、不当だとロシアの裁判所に訴えることができる。裁判所が認めれば、露政府が米国の個人や企業が所有する有価証券や不動産などの資産を損害賠償に活用することが可能になるという。露政府は今後、4か月以内に関連法を改正するとしている。

 欧米が凍結した露中銀の資産は約3000億ドル(約47兆円)に上り、このうち約3分の2は欧州連合(EU)各国で管理されている。EUは21日、露中銀の凍結資産の没収には踏み込まず、資産が生み出す運用益をウクライナ支援に活用することで正式合意した。

 米政府はこれまで、ウクライナと同様、ロシアの資産の没収を主張していたが、欧州各国や日本などが国際法上、国家の資産は原則没収できないとの立場を取ってきた。凍結されたロシアの資産の活用は、23日にイタリアで始まった先進7か国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で議題になるほか、6月のG7首脳会議でも協議される見通しだ。