世界で最も華麗で高額な新高層ビルに差す影

AI要約

香港の金融街に聳え立つ高層オフィスビル「ザ・ヘンダーソン」が新たなシンボルとなっている。

設計はザハ・ハディド・アーキテクツが手掛け、曲線が特徴的な外観を持つ。

香港の不動産市場の低迷や新型コロナウイルスの影響により、オフィススペースの需要は減少している。

世界で最も華麗で高額な新高層ビルに差す影

香港のスカイラインに新たなシンボルが誕生した。金融街の中心にそびえる高さ190メートルの高層オフィスビル「ザ・ヘンダーソン」だ。

「世界クラスの建築の職人技を体現するこのプロジェクトは、中環(セントラル)と香港の都市景観を豊かにする」と、恒基兆業地産(ヘンダーソン・ランド・ディベロプメント)会長の李家誠は言う。

香港の不動産開発業者ビッグ4の一角を占めるヘンダーソンが建設地を購入したのは2017年5月のこと。立体駐車場だった50×60メートルの区画を約30億ドル(1平方メートル当たり約100万ドル)で取得し、面積当たりでは史上最も高額な取引となった。

ヘンダーソンはビクトリアハーバーに面しており、中国銀行タワーや国際金融中心など近隣の「伝統的な」超高層ビルの中でもひときわユニークなデザインだ。設計は超モダン建設を得意とするザハ・ハディド・アーキテクツ。曲線が強調された外観を4000枚の反射ガラスが覆う。

香港は投資優遇政策、比較的低い法人税率(16.5%)に加えて、中国やアジア市場へのアクセスのしやすさなどが評価され、企業にとって魅力的な拠点になっている。世界銀行の「ビジネスのしやすさ指数」は現在3位だ。

ヘンダーソンにも投資会社のコラー・キャピタル、高級オークションハウスのクリスティーズ、スイスの高級時計メーカーのオーデマ・ピゲなどの大手企業が最初のテナントとして入居する。

とはいえ、家賃は高く、ニッケイ・アジアによると昨年11月時点で半分しか入居者は決まっていなかった。これは香港の不動産市場の低迷が続いていることを物語る。在宅勤務の増加と新型コロナウイルス後の回復の遅れが、香港のオフィススペースの需要に打撃を与えている。