外信コラム 「米中協力」の中止、さりげなく 軍と協力関係にある天津大学と米ジョージア工科大学

AI要約

米下院中国特別委員会が、GITと天津大学の共同研究プログラムを打ち切ったことを発表した。

GITと天津大学は半導体の研究を共同で進めていたが、中国軍との関係が発覚し、国家安全保障上の理由からプログラムが中止された。

この動きは米中関係における対中警戒が高まっており、バイデン政権下での米中提携や協力の中止が増えている。

外信コラム 「米中協力」の中止、さりげなく 軍と協力関係にある天津大学と米ジョージア工科大学

夏休みを終えて9月上旬に再開された米下院中国特別委員会から新たな発表がさりげない形で送られてきた。ジョージア工科大学(GIT)が中国の天津大学との年来の研究・学習の共同プログラムを打ち切った、という内容だった。見方によっては大きな驚きのニュースである。

GITといえば全米でも有数の州立の理工系大学で国際的な評価も高い。天津大学も古い国立大学で、理工の研究で有名である。両大学はオバマ政権時代の2016年に始めた共同研究作業を止めるというのだ。

このニュースを発表した委員会は共和党主導で結成されたが、いまは民主党議員も半数の超党派である。今年春から中国側の大学と人民解放軍とのつながりを調査して、米側機関との交流を点検する作業を始めていた。GITと天津大学は半導体の新型の開発を共同で進めていたが、天津大側に中国軍と協力関係があることが判明し、米側の国家安全保障の観点から中止の勧告になったのだという。

米中間のこの種の提携や協力の中止は実はバイデン政権下では珍しくない。その実務には下院のこの委員会が先頭に立つことが多い。その意味で今回の動きも大きな流れの一環で、委員会がさりげない形で発表するのも自然といえた。米側の対中警戒はここまできているのだ。(古森義久「ポトマック通信」)