対ウクライナ侵攻長期化の中、ロシア国民3割超が核使用容認 高まる攻撃論、意識変容の背景にあるものは?

AI要約

ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、ロシア国民の核使用に対する意識が変化し始めている。

一部の国民は核攻撃を支持する姿勢を示しており、その割合は前回の調査よりも上昇している。

支持層と不支持層での差異や、独立系調査機関の結果などから、今後の核兵器に対する意識の変化が注目されている。

対ウクライナ侵攻長期化の中、ロシア国民3割超が核使用容認 高まる攻撃論、意識変容の背景にあるものは?

 ロシアのウクライナ侵攻が長期化するにつれ、核使用に対するロシア国民の意識にも変化の兆しが出ている。政府自らが戦術核使用の準備とも取られる動きを見せ、その使用を否定しない姿勢を示していることが影響している可能性がある。背景を探った。(共同通信=太田清)

 ▽独立系調査機関

 ロシアの独立系世論調査機関レバダ・センターは7月4日、前月行われたウクライナ侵攻に関する世論調査結果を発表。設問の一つはウクライナ侵攻を巡り「ロシアによる核兵器使用は正当化されるか」というものだった。

 「明確に正当化される」10%、「どちらと言えば正当化される」24%を合わせ、核攻撃を支持するとした回答は全体の3分の1の34%に上り、前回の昨年4月の同様調査と比べ、5ポイント上昇。

 一方、「明確に正当化されない」31%、「どちらかといえば正当化されない」21%を合わせ、否定的な意見は52%に上ったものの、前回調査に比べると4ポイント低下し、核兵器使用を容認する国民が増えている傾向をうかがわせた。

 特徴的な点として、プーチン大統領支持・不支持層で分けると、支持層は36%が核攻撃を支持しているのに対し、不支持層は21%にとどまった。

 レバダ・センターは国家の財政支援を受けていない世論調査機関で、2016年にはスパイ機関とほぼ同義の「外国の代理人」に指定されロシア国内での活動が大きく制限されるなど、政府広報とは一線を画し、比較的客観的な調査を行っていると評価されている。

 同様の調査は、別のロシアの独立系世論調査機関ロシアン・フィールドも実施していた。

 「ウクライナでの勝利のため必要であれば核兵器使用は許されるか」との設問に対し、「許されない」との回答が73・9%を占めた一方、「許される」10・5%、「敗北の危機にある場合のみ許される」5・2%と、核攻撃支持は計15・7%にとどまったが、調査は昨年6月と、1年以上前のもので、これ以降、同様調査は行われていない。

 ▽政治プロセス