「自由に生きたかった」アルミ缶を売り、生計を立てる荒川のホームレスたち

AI要約

荒川河川敷のホームレスの日常生活を取材した中国人ジャーナリストが、彼らの家を訪れる。

ホームレスの生活原因や男女別の要因、さらに2人のホームレスの経歴や家族の背景について明らかにする。

10年前にホームレスとなった桂さんは、自由を愛し、アルミ缶を拾って生計をたてる生活を楽しんでいる。

「自由に生きたかった」アルミ缶を売り、生計を立てる荒川のホームレスたち

【文・写真:趙海成】

※ルポ第1話:荒川河川敷ホームレスの「アパート」と「別荘」を、中国人ジャーナリストが訪ねた から続く

今朝、運動の後、桂さんと斉藤さん(共に仮名)の家を回った。実は昨日の朝も、数日前に撮った写真を2人に渡すために彼らの家を訪れたのだが、彼らは外出中だったため会うことができなかった。無駄足を踏むのが悔しくて、私は勝手に彼らの家の扉を開けて、写真を床に置いて出た。

泥棒もホームレスの家には興味がないので、彼らは外出するときも鍵をかけたことがない。

今日は運良く、2人とも外出はしていなかった。器用な桂さんは壊れた小さな椅子を修理しており、斉藤さんはこの2日間で拾ったアルミ缶を整理していた。彼らは私が撮った写真をとても気に入り、テントの家に飾るつもりだと言ってくれた。

私は今日2人に会うために、昨夜は少し勉強をした。この「荒川河畔の原住民」ルポの第1話を微信(WeChat)のモーメンツ(タイムラインのこと)で発表した後、多くの人に「何が原因でホームレスになったのか」「彼らは普段何で生計を立てているのか」などと聞かれたのだ。

日本の厚生労働省が2022年に発表したデータによると、男性がホームレスになった最も多い原因は「仕事が減った」で23.8%だった。次が「倒産と失業」で22.2%、その後は「人間関係がうまくいかなくて、仕事を辞めた」が18.3%、「病気・けがや高齢で仕事ができなくなった」が13.9%と続く。

それに対して、女性がホームレスになる原因として最も多いのは「家庭関係の悪化」や「家族との離別・死別」「家賃が払えなくなった」などだった。つまり男性は「仕事」、女性は「家庭」がホームレスになった大きな原因だといえる。

実際にホームレスの列に入った人は、生活面で大きな困難に直面しているに違いない。斉藤さんは以前、新聞配達や鋳造工、人材派遣会社での社員などを経験した。結婚したことはあるが、子供はいない。奥さんは体が悪く、病気で先立ってしまった。

斉藤さん自身も失業して収入がなくなったことに加え、ギャンブルの趣味など多くの要因が重なり、ホームレスになった。

桂さんは幼い頃から荒川の近くに住んでいた。彼は若い頃会社員で、バーテンダーとして働いたこともある。2度結婚し、2人の娘がいる。彼女たちはもう大人になったという。

彼の妻と娘がなぜ彼のもとを離れたのか、あるいは彼がなぜ妻と娘から離れたのかについて、私は深く聞くことができなかった。彼はただ、「娘たちとは長いこと会ってないから、私がどんな顔をしているか、もう忘れられてしまっているだろう」と、感傷的な言葉をつぶやいた。

桂さんはホームレスになった経緯を淡々と語った。

「私は自由が好きで、他人に縛られたくなかった。アルミ缶を拾って生計を立てているホームレスの先輩と知り合いになって、彼の影響を受けて、この放浪者の道を歩んだ」

桂さんがホームレスになってから約10年が経った。彼は完全にこの放浪生活に慣れ、苦労しながらも自由気ままに生きている。