ブラジル、Xに続きスターリンクも遮断の可能性…「免許取り消しも」

AI要約

ブラジル当局がマスク氏の所有するソーシャルメディアのXとスペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」の遮断を命じる中、マスク氏との争いが激化している。

ブラジル司法当局とマスク氏はフェイクニュースの責任をめぐり対立し、法廷闘争が続いている。

マスク氏は裁判所の決定を政治的な検閲と主張し、ブラジルの最高裁も表現の自由を重視しつつ、問題解決に向けて動いている。

ブラジルとテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)との争いが拡大する兆しだ。ブラジル当局がマスク氏の所有するソーシャルメディアのXに続き、スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」の遮断もあり得ると明らかにしてだ。スターリンクはインターネットインフラが立ち後れた地域に安く提供するとしてマスク氏が始めた事業だ。

ブラジル司法当局は先月31日午前0時を期してXを遮断するよう命じたが、スターリンクは接続遮断命令に従わずにいる。ロイター通信によると、ブラジルの放送通信監督機関ANATELがブラジルのすべての通信会社を対象にXを遮断したか調査しているが、スターリンクは裁判所の命令に従わないと明らかにした唯一の会社だと公開した。

ロイターはANATEL高位関係者の話として、スターリンクが規定を順守しない場合ブラジル国内での運営許可が取り消されることもあると報じた。ブラジルメディアのG1も、こうした状況が続けばスターリンクが制裁対象になる恐れがあり、当局がブラジルでの運営免許を取り消すこともあると伝えた。

◇「フェイクニュースの責任負わなければ」vs「表現の自由侵害」

ブラジル司法当局とマスク氏はXのフェイクニュース流布の責任をめぐり5カ月にわたり対立している。ブラジル最高裁のモラエス判事は4月、Xにフェイクニュースとヘイトメッセージを流した容疑を受ける「デジタル民兵隊」を含んだ右翼性向のアカウントを停止するよう命令したが、Xは「検閲措置だ」として反発した。

Xに罰金を科したモラエス判事は先月28日、24時間以内にブラジル法律代理人を選任するよう命じたが、Xはこれに従わなかった。これまで累積したXの罰金は1835万レアル(約4億7728万円)に達する。これに対し裁判所はANATELにXの遮断と仮想専用通信網(VPN)を通じてXに迂回接続する場合、5万レアルの罰金を科すよう命じた。

現地メディアはこの日ブラジル最高裁が満場一致でX遮断決定に賛成したと伝えた。メディアによると決定に同意した最高裁判事は「表現の自由は責任の義務と結びつく基本権利」としてマスク氏が「民主社会なら根付くことのできない攻撃の自由を表現の自由と混同している」と批判した。

ブラジルのルラ大統領も前日CNNとのインタビューで「マスク氏が富豪という理由だけで国際社会が彼の極右イデオロギーを我慢できないという重要なシグナルを(ブラジル司法当局が)送った」と話した。

これに対しXはブラジル最高裁が表現の自由を侵害していると主張する。マスク氏は裁判所の決定を政治的動機による検閲措置だとし、「表現の自由は民主主義の根幹でありブラジルの選出されていない判事が政治的目的でこれを破壊している」と主張した。

ブラジル裁判所はXが支払わない罰金をスターリンクが責任を負うべきとしてスターリンクの口座を凍結する処分を下した。この日ANATELは、スターリンクがブラジル国内の銀行口座凍結が解除されるまでXのサービスを中断しないと通知してきたとロイターに伝えた。スターリンクは裁判所の命令に反発し、ブラジルの利用者に無料インターネットサービスを提供すると明らかにしている。

マスク氏はこの日、Xに「モラエス判事は就任宣誓違反で弾劾されなければならない」「犯罪者は監獄に行かなければならない」として非難のレベルを高めた。また「ブラジル政府がXとスペースXの違法に差し押さえた資産を返還しなければわれわれも政府資産に対し相互差し押さえを要請するだろう」と明らかにした。