ウクライナ、ロシア領奥地へ大規模ドローン攻撃

AI要約

ウクライナがロシアに対してドローンを使用した大規模攻撃を実施し、製油所や発電所が標的となった。

攻撃に対してロシアは防空システムで迎撃し、損害はほとんどなかったが、一部建物や施設に火災が発生。

ウクライナは新型のドローンや長距離兵器を使用し、戦闘能力に大きな影響を与える狙い。

ウクライナ、ロシア領奥地へ大規模ドローン攻撃

(CNN) ウクライナが週末、ロシアに対して、ドローン(無人機)を使ったこれまでで最大規模の攻撃を実施し、ロシア領内奥地にある製油所や発電所を標的としたことがわかった。SNSに投稿された動画や、そうした動画を分析して位置を特定したことから明らかになった。

短い動画には、モスクワ市やモスクワ市に近いトベリ州の標的から煙が上がっている様子が捉えられている。

ロシア国防省もウクライナによる大規模な攻撃を認めたものの、効果はほとんどなかったとした。国防省は1日、15州で、UAV(無人航空機)158機が破壊されたり防空システムによって迎撃されたりしたと明らかにした。

モスクワのソビャニン市長は、市内の製油所がある地域で2機のドローンが撃ち落とされたと明らかにした。死傷者の報告はないものの、撃墜された2機目のドローンによって建物が損傷し火災が発生したという。

トベリ州の知事はSNSへの投稿で、コナコボ地区でドローン攻撃によって火災が発生したが消し止められたと明らかにした。ガスや電気のサービスは通常通りに提供されているという。

ウクライナによるドローン攻撃は過去1週間でも行われており、ウクライナ国防省によれば、8月29日にはロストフ州の製油所にある石油貯蔵施設で火災が発生していた。

CNNが位置を特定したSNSの動画には、攻撃を受けて黒い煙を上げるロストフ州の石油貯蔵施設が捉えられている。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、直近のロシア領に対するドローン攻撃について、ロシア政府が繰り返しウクライナ領に対して攻撃を行っていることから正当化されると主張した。

ゼレンスキー氏はX(旧ツイッター)への投稿で、ロシア軍が過去1週間だけで、160発のミサイルや780発の滑空誘導爆弾、400機のUAVをウクライナに対して発射したと述べた。

ウクライナ第2の都市ハルキウでは1日、ロシア軍が民間インフラに対して行った攻撃によって少なくとも41人が負傷した。地元当局が明らかにした。

ロシアはウクライナへの侵攻を開始して以降、ミサイルやドローンで繰り返しウクライナのエネルギーインフラを攻撃している。

ウクライナのウメロウ国防相は先週、CNNの取材に答え、バイデン米政権に対して、ウクライナ政府が米国が提供した長距離兵器を使って攻撃を望んでいるロシア領内の標的のリストを提示したと明らかにした。ウクライナが使用したいと考えている長距離兵器の中には、射程が300キロほどとされる地対地ミサイル「ATACMS(アタクムス)」が含まれる。

米当局者によれば、ウクライナが価値が高いと考えているロシア領内の標的の多くはATACMSの射程外にある。ロシア軍は、滑空誘導爆弾を発射できる航空機など価値の高い軍事資産について、前線から遠く離れた場所に移動させている。

ウメロウ氏はこうした評価には同意せず、米国にはATACMSを使って攻撃できる標的のリストを提示したと述べた。

米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」の分析も、ロシア領内にある価値の高い標的はATACMSの射程内にあるというウメロウ氏の主張を支持している。

ISWはロシア領内にある233カ所の標的を特定した。その中には、大規模な軍事基地をはじめ、通信施設や物流拠点、修理工場、燃料貯蔵施設、弾薬貯蔵施設、常設の司令部などが含まれる。こうした動かすことのできない資産がATACMSの射程内にあり、ロシア政府はこうした資産を危険から遠ざけることはできないと指摘した。

ISWによれば、ウクライナがATACMSでこうした標的の一部を攻撃するだけで、ロシアの前線での戦闘能力に大きな影響を与えることができるという。

ウクライナは米国に対してATACMSの使用制限の解除を求めつつ、新たな国産の長距離兵器の開発も進めている。

ゼレンスキー氏は8月、ロシア領内奥地への攻撃が可能な新型のドローンを発表していた。

ゼレンスキー氏によれば、「パリアンツィア」と名付けられた「ミサイル・ドローン」が初めて戦闘で使用された。既存のドローン群よりも素早く強力だという。

ゼレンスキー氏はパリアンツィアについて詳細は明かさなかったものの、「長距離」能力があると称賛し、同国の現在のドローン群の最大射程である1500キロを上回る可能性があると示唆した。