「スパイ見つけ出せ」米国で調査受けた中国人科学者、突然自ら命絶つ

AI要約

米国当局の調査を受けた在米中国人科学者が自殺した事件について、具体的な動機や理由は不明だが、スパイ活動の疑いが浮上している可能性が指摘されている。

米国では中国からの技術情報や知的財産権を奪取する試みを阻止する取り組みが行われており、それに関連した捜査により多くの科学者が摘発され、職を失うなどの影響を受けている。

ウー博士は中国の海外人材プログラムに参加しており、それが米国当局の疑念を引き起こす要因となった可能性が指摘されている。

米国当局の調査を受けた在米中国人科学者が先月、米シカゴで自ら命を絶った。

香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストは先月31日、シカゴを管轄するクック郡の資料を根拠に、米ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部の元研究教授のジェーン・ウー博士が7月10日にシカゴの自宅で自ら命を絶ったと報道した。

ウー博士死亡の具体的な動機や理由は明らかにされていないが、同紙はスパイを見つけ出すために始まった中国人科学者への米当局の調査が関連している可能性を提起した。

米国は2018年11月から当時のトランプ大統領の指示により米国から技術情報と知的財産権(IP)を奪取しようとする中国の試みを阻止する捜査プログラム「チャイナ・イニシアチブ」を始めた。

このプログラムは人種的偏見と恐怖造成という懸念が高まり、2022年2月にバイデン米政権が正式に終了したが、その余波は現在まで続いているとの評価が出ている。ほぼ同時期に米国立保健院(NIH)も別途のプログラムを通じて不当な資金支援や研究規定違反などに対する調査を始めている。

この過程で過去6年間に大部分がアジア系と推定される科学者250人が摘発され、このうち112人が職を失った。ウー博士もやはりNIHの調査を受け所属していたノースウェスタン大学ファインバーグ医学部の研究室が閉鎖された。

ウー博士は中国の海外人材養成国家プロジェクトである「千人計画」の一環として2009年から中国科学院傘下の研究室を運営し学生を教えていた点からNIHの標的になったと同紙は伝えた。

ウー博士とともに研究してきた同僚は彼女の死亡に大きな衝撃を受けたとし、調査対象になった上に職場まで失い激しい圧迫感を受けたと推定した。

同紙は「ウー博士の死は中国と隠密な関係があると疑われる研究者を追跡しようとする米国当局の措置に対する批判を再び呼び起こした」と指摘した。

1963年に安徽省合肥で生まれたウー博士は1986年に上海医大を卒業した後、米スタンフォード大学でがん生物学博士学位を受けた。ハーバード大学博士研究員、ワシントン大学助教授を経て2005年からノースウェスタン大学に在職し分子生物学と神経科学分野研究を先導してきた。