全米で急成長している完全無料の動画配信「Tubi」って何？
無料動画配信サービスTubiが急成長しており、ネットフリックスやアマゾンプライムビデオといった大手企業を凌駕している。
Tubiは広告収入を収益源とし、独自コンテンツを制作せず、安価な古いコンテンツを無料で提供している。
視聴者の特徴は、黒人視聴者が多く、50歳以上の視聴者も多いことが挙げられる。
ネットフリックスなど動画配信各社がしのぎを削るなか、無料を武器に全米で「Tubi」が急成長している。その人気の秘密とは。
米「ニューヨーク・タイムズ」紙によると、2年前まで無料動画配信Tubiについて、「詐欺なのか？ ウイルスをまいているのではないか？」と疑う人が多かった。いま、このTubiは視聴者を増やし、同業のアップルTVを凌ぎ、ディズニープラスと拮抗するレベルに成長。追いかけるは、ネットフリックス、アマゾンプライムビデオ、フールー、Youtubeのみとなるほどに急拡大している。
Tubiはメディア大手フォックス傘下の完全に無料で見られる動画配信で、会員が支払う会費ではなく、広告収入を収益源とする。アカウントを取得する必要がなく、登録なしで簡単にすぐに見られるのが特徴だ。
英メディア「BBC」によると、Tubiは2024年中に英国に進出することを決めた。英国内でもTubiの2万以上の映画やドラマを無料で視聴することが可能となる。
大金をかけて独自コンテンツを製作してきた大手配信企業にとって、Tubiの躍進はショックなことだ。Tubiは安値で買える古いコンテンツを買い、無料で配信している。独自コンテンツがあっても低予算で制作しているという。
メディア大手のフォックスは2020年にTubiを4億4000万ドル（約660億円）で買収。フォックスの役員マードックはTubiが成長することを、決算説明会毎に予言していた。「広告が流れても関係ない、人は無料が大好きなんだ」と。
Tubiの視聴者には大きな特徴がある。Tubiを視聴する人の46％が黒人であることだ。黒人が白人を上回る動画配信はTubiだけ。また、半数以上が50歳以上という点も特徴的だ。
サブスク型の動画配信は会員数の動向で業績のブレが大きいが、Tubiはほかの動画配信を退会した人の受け皿になっている。敢えて黒字化させていないというTubiの経営陣は「古いコンテンツ、大スターが不在、低予算と、一般的に弱みとされていることが逆にTubiの強みだ。ディズニープラスと視聴者数で並んでるって？ 先方はわれわれの100倍の規模で運営しているのに…（もかかわらず視聴者数は同じレベルなのだ）」
