ハリス氏、多様性を象徴する出自アピールへ 米民主党大会で演説

AI要約

米民主党の全国大会は、ハリス副大統領が指名受諾演説を行った。彼女は自身の背景やビジョンを示し、トランプ前大統領を批判し中産階級の重要性を訴えた。

大会では様々な政治家が演説し、ハリス氏を支持する姿勢を示した。左派から右派まで党内の団結が強調された。

ハリス氏陣営は労働者や中間層を重視し、権利擁護や支持拡大に努めている。世論調査でもトランプ氏を上回る姿勢が見られる。

ハリス氏、多様性を象徴する出自アピールへ 米民主党大会で演説

 米民主党の全国大会は最終日の22日、中西部イリノイ州シカゴの会場で、女性初の大統領を目指すハリス副大統領(59)が指名受諾演説を行う。

 事前に公表された要旨によると、ハリス氏は演説で、亡くなった母シャマラさんが19歳の時に出身地のインドから乳がん研究者を志して単身渡米したと紹介。自身も労働者階級が多く住む地域で暮らしたことがあり、米国の多様性を象徴する出自をアピールする。

 さらにハリス氏は、今回の選挙で米国は「過去の恨みや皮肉、分裂の戦いを乗り越える貴重な、つかの間の機会を得た」と発言。多様な意見に耳を傾ける「あらゆる米国人のための大統領になる」と決意を表明する。

 共和党大統領候補のトランプ前大統領(78)については、「あらゆる意味で不真面目な男だ」と批判。「トランプ氏をホワイトハウスに戻すことの結果は極めて深刻だ」と警告し、対決姿勢を強める。

 さらに「強力な中産階級が米国の成功には不可欠だ。中産階級を築くことが、私の大統領としての決定的に重要な目標だ」と訴える。

 ハリス氏は、党の候補指名を固めていたバイデン大統領(81)が7月下旬に高齢による衰えへの懸念から出馬を断念したため、急きょ登板した。政策やビジョンが十分煮詰まっていないとの批判もあり、受諾演説で挽回できるか注目される。

 19日に開幕した大会では、これまでに副大統領候補のウォルズ・ミネソタ州知事やバイデン氏のほか、オバマ元大統領と妻ミシェルさん、ビル・クリントン元大統領と妻ヒラリー・クリントン元国務長官らが演説。党内の足並みを乱すこともあった左派からは若手有力者のオカシオコルテス連邦下院議員が登壇し、党内が結束してハリス氏を支援していく姿勢を強調してきた。

 またハリス氏陣営は、選挙の結果を左右する接戦7州で鍵を握るとみられる中間層や労働者を重視する姿勢や、人工妊娠中絶などの権利擁護や自由な社会の実現を前面に打ち出している。

 複数の世論調査では、トランプ氏に先行を許していたバイデン氏から一転して、ハリス氏は接戦州でもトランプ氏を上回ったり、激しく追い上げたりする結果が出ている。陣営は党大会を弾みにして、今後さらなる支持拡大を目指す。【シカゴ松井聡、秋山信一】