米国人も感動してしまう「トニー・バーネットとヤクルトの物語」─「野球ファンでなくても、彼の人生からは学ぶところがある」

AI要約

東京ヤクルトスワローズのリリーフ投手トニー・バーネットの野球人生を追ったノンフィクションが刊行された。バーネットは日本で成功し、その後MLBでも活躍した。

2015年のクライマックスシリーズで、スワローズがジャイアンツを下して日本シリーズに進出。バーネットの大ジャンプが話題となる。

バーネットは日本でのプレーを通じて成長し、MLBへの夢を叶えた。その軌跡がスポーツジャーナリストによって記録されている。

米国人も感動してしまう「トニー・バーネットとヤクルトの物語」─「野球ファンでなくても、彼の人生からは学ぶところがある」

東京ヤクルトスワローズでリリーフやクローザーとして活躍し、その後MLBでも成功した投手のトニー・バーネット。6月、米国のスポーツジャーナリストによる、バーネットの野球人生を追ったノンフィクションが刊行された。これに際し、英紙「ガーディアン」が著者のアーロン・フィッシュマンにインタビューしている。

2015年、日本球史に残る瞬間を目撃した明治神宮球場は、興奮に沸き立っていた。クライマックスシリーズで、東京ヤクルトスワローズが宿敵・読売ジャイアンツを下したのだ。

両チームは数十年にわたり東京を拠点としてきたが、それ以外に共通点はほとんどない。ジャイアンツがニューヨーク・ヤンキースにも比される日本球界の古豪であるのに対し、スワローズは長年、勝率5割前後に甘んじていた。

雪辱を果たしたスワローズは、日本シリーズへと駒を進めた。これを祝う選手たちのなかに、スワローズのクローザーである米国人選手トニー・バーネットがいた。彼が試合後のセレモニーでアクロバティックな大ジャンプを連発する様子は、日本のソーシャルメディア上でも話題となった。

バーネットには大喜びの理由があった。アリゾナ・ダイヤモンドバックス傘下の3Aチームでの成績に忸怩たる思いを抱いていた彼は、日本でプレーしてみないかというオファーを承諾する。

しかし、年俸は3Aチームより良かったものの、バーネットは日本語を話せず、また一旦オファーを受けてしまえば、その後MLBに行ける可能性は低くなる。MLBでのプレー経験がないのでなおさらだ。

2010年、スワローズでのシーズン1年目で、彼は二軍への降格も経験し、当初は契約更新も未定だった。しかし、その後めぐってきたチャンスを掴んだバーネットは、イマイチな先発から豪腕のリリーフへと変貌し、クライマックスシリーズで成功を収めた。

さらにその後、日本で6シーズンを経て、ついにテキサス・レンジャーズ、続いてシカゴ・カブスに入団。MLBでプレーするという夢を叶えたのだ。その彼の物語が、スポーツジャーナリストのアーロン・フィッシュマンの新著『野球ガイジン 夢を追って日本、そして再びの米国へ』(未邦訳)に記録されている。

「必ずしも野球ファンでなくても、バーネットの人生からは学ぶところがあると思います」とフィッシュマンは言う。

「己の人生をかけた夢を追って越えがたい壁を越えた人の話は聞いてみたいものですし、全然知らない外国に暮らすのがどんなものかも興味深い。私が言うのも変ですが、彼の物語はすごく気に入ってます」