<ハリスも身内に足を引っ張られる?>敵に投票、離党… 民主党で内部対立が頻発する理由とは

AI要約

2024年7月、バイデン大統領が撤退を表明し、民主党はハリス副大統領を大統領候補に指名。党内は団結力に欠け、対立が頻発している。

ヒラリーとサンダースの争い、バイデンの左派寄り政策、シネマの離党など、過去の出来事から民主党の分裂が明らかに。

24年の大統領選挙ではハリスを候補とするが、マンチンの擁立動きもある。歴史的背景と今日の状況を通じて民主党の分裂の理由を解明。

<ハリスも身内に足を引っ張られる?>敵に投票、離党… 民主党で内部対立が頻発する理由とは

 2024年7月、バイデン大統領が米大統領選からの撤退を表明。それに伴い、民主党はカマラ・ハリス副大統領を正式に大統領候補に指名した。ハリス氏は大統領選で当選すれば女性で初めての大統領に。11月に投票が迫るなか、共和党のトランプ前大統領との決戦に注目が集まっている。

 今回は予想外に早くハリス氏の指名で固まり、民主党の結束感があるように見えるが、実は党内は一枚岩ではない。過去から現在を見ていくと、団結力に欠け、党内で対立が頻発している。その理由を紐解くためには、歴史的背景や民主党を取り巻く状況を知っておく必要がある。2023年9月28日に掲載した『【解説】米民主党はなぜ、対立が頻発しているのか』を再掲する。 米民主党は、米国の二大政党のうち左派の政党だが、まとまりが少なく混乱した政党だというイメージを持っている人も多いのではないだろうか。

 2016年の大統領選挙では、民主党候補となったヒラリー・クリントンと民主社会主義者を自称するバーニー・サンダースが争い、サンダース支持者の一部がヒラリーに投票せず、共和党のドナルド・トランプに勝利をもたらした。また、20年の大統領選挙では民主党支持者が打倒トランプの下に結集してジョー・バイデンが民主党候補となったが、サンダース派がバイデンにさまざまな要求をつきつけ、もともと穏健派とされたバイデンが左派寄りの政策を実施するようになった。その結果、まずはそれに不満を抱く上院議員のキルステン・シネマが民主党から離れた。

 そして24年の大統領選挙では、民主党はバイデン大統領、カマラ・ハリス副大統領のチケットで大統領選挙に臨む事が確実視されているが、ノー・ラベルズと呼ばれる第三の候補者擁立の動きが起こり、民主党上院議員で穏健派のジョー・マンチンの擁立が噂されている。

 米国の民主党が団結力に欠けているというイメージは、少なからず当たっている。民主党がこのような状況になった理由を解明するために、まずは歴史的な背景を検討する必要がある。その上で今日の民主党を取り巻く状況を解説することにしたい。