出生届提出直後に空爆、生後3日の双子と母親が死亡 ガザ

AI要約

パレスチナ自治区ガザ地区で、自宅への爆撃で妻と子どもが殺害された男性が、生後3日の双子の出生証明書を受け取った直後の悲劇を体験する。

家族の死を知らされた男性は、新生児用品を抱えて悲しみに暮れる。戦闘の余波で日用品が不足する中、双子の命を守る日々が始まる。

男性と妻は紛争前に結婚し、妊娠中もボランティア活動に取り組んでいた。家族の喪失と新しい命の誕生という対照的な出来事が重なる。

出生届提出直後に空爆、生後3日の双子と母親が死亡 ガザ

【AFP=時事】イスラエル軍の激しい攻撃が続くパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で、モハメド・アブクムサンさんは、生後3日の双子の出生証明書を受け取った直後、自宅への爆撃で妻と子どもが殺害されたとの連絡を受けた。

 アブクムサンさんが出生証明書を持ったまま泣き崩れる映像はソーシャルメディアで広く拡散された。

「病院で出生証明書を受け取った直後に電話があった」と話すアブクムサンさん。「電話口からは『大丈夫か。今どこにいる』との声が聞こえた。私は病院の入り口にいると答えた。そして自宅が爆撃されたことを知った」と述べた。

 中部デイルアルバラフ(Deir al-Balah)にある集合住宅5階の自宅には、妻と男女の双子、義母がいた。

「家族がアルアクサ殉教者病院(Al-Aqsa Martyrs Hospital)にいると告げられ、自分も病院入り口にいると言った」

「出生証明書を持ったまま病院に入った...そして家族が遺体安置所にいると聞かされた」

 爆撃についての質問にイスラエル軍報道官は「報道されている事案の詳細について、現時点でIDF(イスラエル国防軍)は把握していない」と答えた。

 14日、家も家族も失ったアブクムサンさんは、イスラエルが人道地区に指定した沿岸地域アルマワシ(Al-Mawasi)地区の青いテントの外で、ピンクと黄色の新品のベビー服を畳んでいた。

「出生証明書を取得した日に、子どもたちと妻の死亡証明書を提出しなければならなかった」

 男の子はアセル、女の子はアイサルと名付けられたが、妻が双子の名前を知ることはなかった。

 アブクムサンさんは「祝う間もなかった。服は新品だ。着せてあげることができなかった」と述べ、「見つけるのに3か月かかった」と開封済みのおむつの袋を見せた。開戦以降、ガザ地区では日用品が慢性的に不足している。

 2人が結婚したのは紛争前の昨年7月。薬剤師の妻は妊娠7か月まで各地の病院でボランティアを続けたという。