米国境はパナマまで南下? 「壁」建設を目指す新大統領がトランプ「返り咲き」に期待する理由

AI要約

中米パナマの新大統領は、ダリエン地峽に壁を建設する意向を表明。地峡を通る移民の流入を抑えるためとしている。

過去1年で50万人以上の移民がこの地域を通過。性的暴行の被害も報告されている。

壁の建設は不可能との指摘もあり、移民をより危険なルートに追いやる可能性も指摘されている。

米国境はパナマまで南下? 「壁」建設を目指す新大統領がトランプ「返り咲き」に期待する理由

中米パナマのホセ・ラウル・ムリノ新大統領は、ダリエン地峽を封鎖する壁を建設する意向を示している。コロンビアとの国境付近に広がるこの地峽は、中南米からアメリカへ向かう移民の通り道となっているジャングル地帯だ。

「アメリカの国境はテキサスからパナマに移動した」とムリノは述べ、移民を狙った強盗や暴行事件を減らすためには、移民の流入を緊急に抑える必要があるとしている。

昨年だけで50万人以上の移民(そのうち11万人余りは子供)がこの危険な地域を通過し、2019年の2万4000人から急増している。国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチは報告書で、移民がしばしば性的暴行の対象になっていると指摘した。

最近ムリノは、ドナルド・トランプ前米大統領が返り咲いたら壁建設への支援を求めたいと語った。しかし地峡を完全に封鎖するのはまず不可能で、移民をさらに危険なルートへと追い込みかねない。

ダリエン地峡の沼地のジャングルは、コロンビアとパナマの国境にまたがり、南北約160キロ。ベネズエラやキューバなど中南米諸国からだけでなく、遠くアフリカやアジアからアメリカに向かう主要ルートにもなっている。