【社説】グーグル独占で手術に出た米国、まだ革新が必要な韓国

AI要約

米国の連邦地裁がグーグルを独占企業と判断し、ブラウザ検索エンジンをiPhoneの基本検索エンジンに搭載する条件でアップルに巨額の支払いを行ったことを認定。

シャーマン反トラスト法に基づく独占規制の歴史やビッグテック企業に対する規制の必要性を考察。

ビッグテック企業の革新を阻害する危険性と、規制の適切な方針を模索する必要性。

米連邦地裁が「検索の帝王」グーグルを独占企業と判断した。グーグルが自社の検索エンジンをiPhoneの基本検索エンジンとして搭載するため2022年だけでアップルに200億ドルを支払うなど独占的地位を維持しようと年間数千億ドルを使ったという司法省の主張を裁判所が認めた。まだ1審だがビッグテックを狙った類似訴訟に大きな影響を及ぼす「記念碑的判決」と米国メディアは評価した。判決が最終確定すればグーグルが分割されたり一部事業が売却されたりする可能性がある。

米国は134年前に世界初の独占規制法であるシャーマン反トラスト法を作った国だ。自由放任を基本理念とした国が民間企業の活動に介入する法律を作ったのは、独占大企業の弊害がそれだけ大きかったためだ。ロックフェラーの石油会社スタンダードオイルと米国全域にサービスを提供したAT&Tを分割したのもシャーマン反トラスト法だ。米司法省がPCメーカーだったIBMに反独占訴訟を行った末にIBMはソフトウエアを外注に出し、そのおかげでマイクロソフトが成長した。司法省が25年前にウィンドウズの独占でマイクロソフトを狙うとマイクロソフトはウィンドウズの互換性を高め、その機会をうまく生かして成長した企業がグーグルとアップルだ。シャーマン反トラスト法の歴史は逆説的に反独占法が新たな革新の促進者であることをよく示している。

かつて革新の象徴だったビッグテックがいまは競争を阻害する革新の障害なる危機に置かれた。ビッグテックは報道機関の著作物を無断で使い著作権を侵害したという批判も受けている。ニューヨーク・タイムズが年末に自社記事をAI訓練に使ったとしてチャットGPT開発会社であるオープンAIとマイクロソフトに対する訴訟を起こしもした。

革新を妨げるビッグテックは規制すべきだが、国ごとに事情が異なる点に留意しなければならない。世界100大プラットフォーム企業の80%が米国企業だ。これに対し欧州企業は2%にすぎない。米国がビッグテックの寡占にメスを入れたのは余裕があるからで、欧州がデジタル市場法まで作って事前規制に出たのは米国のビッグテックを狙ったものだ。

韓国のビッグテックに対する不満は主にビッグテックと利用事業者間の甲乙関係だ。とりわけ自営業者が多い上にプラットフォーム間の競争がそれだけ激しいという傍証でもある。ビッグテックプラットフォーム間の活発な競争は消費者には選択肢を広げるので良く、産業発展にも役立つかもしれない。グーグルの判決で韓国もすぐ規制を強化すべきという主張はやや早まったものだ。欧州連合(EU)のように事前規制に出れば国産プラットフォームがしっかり持ちこたえている韓国に決して有利ではない。孫興慜(ソン・フンミン)が優れているからと審判が孫選手ばかり追いかけてルール違反を監視したらまともに実力を発揮できるだろうか。ビッグテック規制議論は韓国の事情に合うよう慎重にアプローチする必要がある。韓国のビッグテックプラットフォームにはまだ多くの革新が必要なためだ。