ウクライナでF16戦闘機運用開始 戦況好転へゲームチェンジャーになるか

AI要約

ウクライナが西側諸国から供与されたF16戦闘機の導入に期待が高まっており、戦局の膠着状態を打破する可能性がある。

F16は安価で性能が優れ、制空能力や対地攻撃能力が高いことから、ウクライナ軍の戦力強化に貢献することが期待されている。

ただ、導入された機体を適切に運用するためにはパイロットや整備人員の育成が必要であるとされている。

ウクライナでF16戦闘機運用開始 戦況好転へゲームチェンジャーになるか

ウクライナが西側諸国に供与を求めてきた米国製戦闘機「F16」の第1陣が今月到着し、国内での運用が始まった。ロシアの侵略開始から約2年半。戦局は膠着状態が続き、ウクライナ軍は地上戦で突破口を見いだせずにいる。F16の導入は課題だった防空体制を改善し、戦況を好転させる契機となるか。

■F16に大きな期待

「ウクライナの航空戦力強化は新たな段階に入った」。ゼレンスキー大統領は4日、デンマークが供与した2機のF16を前にこう訴えた。内外のメディアにデモ飛行も披露し、「勝利をもたらす戦果を挙げてほしい」と語った。

F16については、米国が2023年5月、同盟国からウクライナへの供与を許可した。現時点でノルウェー、デンマーク、オランダ、ベルギーから計約80機の供与が予定されている。ただ、年末までの供与は20機程度とされ、運用の効果は未知数だ。

ウクライナのF16に対する期待は大きい。航空戦力に勝る露軍は戦闘機で広範囲に制空権を確保し、ドローン(無人機)やミサイル攻撃で攻勢をかける。他方、ウクライナ軍の戦闘機は旧ソ連期の旧式で探知レーダーも古い。空から地上部隊を援護できないことが苦戦の要因となっている。

■制空、対地攻撃に優れ安価

F16は1974年に初飛行した第4世代の戦闘機だ。最新鋭ステルス戦闘機F35のように敵レーダーから逃れるステルス性能はないが、これまでに何度も改良が行われ、制空能力や対地攻撃能力も優れているとされる。性能の割に安価で現在25カ国で3千機以上が運用され、部品調達が容易であることもメリットだ。

ウクライナ軍が効果的に運用できれば、露軍の制空権を奪取できる可能性がある。露軍の長距離ミサイルやドローン、滑空爆弾の攻撃に対応でき、露領内や露支配地域の軍拠点への攻撃も可能だ。課題だった防空体制を強化でき、地上部隊の戦況を好転させる可能性も秘める。ゼレンスキー氏は「少なくとも128機が必要だ」と訴える。

■パイロットも整備人員も不足