「地上に行け」住民難色…地下駐車場火災で肩身狭くなった電気自動車=韓国

AI要約

ソウル市や仁川市のマンションにおいて、EVの地下駐車場利用に対する安全上の懸念が高まっている。EV火災のリスクが増加しており、住民たちの間で混乱が生じている。

EV所有者と他の入居者の間で意見の相違がある。EV所有者は地球環境保護という理由で車を購入したが、他の住民は火災の心配からEVを避ける傾向がある。

消防庁によると、EV火災事故は年々増加しており、現行法ではEV充電施設の設置が義務付けられているが、安全設備の拡充が追いついていない状況だ。

「地上に行け」住民難色…地下駐車場火災で肩身狭くなった電気自動車=韓国

先月29日、ソウル市永登浦区(ヨンドンポク)のあるマンションでは電気自動車(EV)はできるだけ地上充電スタンドを利用してほしいという内容の案内が張り出された。このマンションにはEV充電スタンドが13基(地上7基、地下6基)が設置されているが、管理事務所はできるだけ地下を避けてほしいと入居者に要請した。管理事務所側は「地下EV充電スタンドで火事が起これば消火活動が難しい」とその理由を説明した。

最近EVの地下駐車をめぐり住民が難色を示すマンションが増加している。特に今月1日、仁川青蘿国際都市(インチョン・チョンラクッチェトシ)のあるマンション地下駐車場でEVから火災が発生して車両72台が全焼して住民400人が臨時避難所に留まることになり、他のマンションでも不安を訴える声が出ている。

EV火災リスクをめぐり、車両所有主とその他入居者の立場の違いは大きい。仁川西区のあるマンション駐車場で会ったイ・ジョンスさん(38)は「EVを見ると『火事が起きたらどうしよう』と心配のほうが先立つ」と話した。別の住民キムさん(40代)は「(EV)充電スタンドはもちろん、EVの近くには絶対に駐車しない」とし「EVは最初から地下に入らないでほしい」と話した。

反面、昨年4月EVを購入したイさん(28)は「政府がEV充電スタンドの設置を増やすと話し、大気汚染も心配になったので2年間一生懸命貯金してEVを買った」とし「近所の人は嫌がっているようで罪を犯した気持ち」と話した。

EVの火災事故は年々増加している。消防庁はEV火災が2021年24件、2022年43件、2023年72件で毎年増加していると明らかにした。この期間に駐車・充電中に火事が起こったのは合計62件だ。

現行の親環境自動車法は100戸以上のマンションおよび共同住宅にはEV充電施設を必ず設置するよう規定している。2022年1月27日以降、建築許可を受けた施設の場合、全体駐車面の5%以上にEV充電施設を設置しなければならない。

だが、EV火災に備えた消火施設は不十分な状況だ。共同住宅EV充電区域に関連した消防安全規制がないためだ。今回の仁川マンション火災も防火壁など安全設備がなかったため被害が拡大したという。EVに使われるリチウム電池は一旦火事が起こると一般の消火器や水では簡単には消えず、そのうえ有毒ガスが発生する。

専門家はEV充電施設が増える速度に比べて安全設備拡充速度が遅れていると指摘する。牧園(モクウォン)大消防防災学科のチェ・ジン教授は「EV充電施設に関連し、法的に規制しなければならない」とし「防火区画など初期に火災を鎮圧できる安全設備が充電施設よりも先に用意されるべき」と話した。

一方、1日仁川EV火災事件を捜査する警察は8日に予定された合同鑑識をこの日午前に操り上げて実施した。合同鑑識には国立科学捜査研究院や仁川警察庁科学捜査隊、仁川消防本部火災調査チームなど関連機関関係者20人余りが投入された。