環境に優しい選手村メニューに「肉が足りない」 パリ五輪

AI要約

パリ五輪では、温室効果ガス排出量を半分に抑える取り組みが進められているが、肉好きのアスリートたちの食欲に対する課題が浮かび上がっている。

選手村ではアスリートたちの肉や卵、大盛りのオーダーが相次ぎ、食料不足の問題が生じている。

食事提供会社は肉や卵の提供量を増やすなどの調整を行っており、需給バランスの調整が進められている。

環境に優しい選手村メニューに「肉が足りない」 パリ五輪

【AFP=時事】環境に優しい五輪をうたうパリ五輪では、大会関連の温室効果ガス排出量をこれまでの五輪の半分に抑えるという野心を掲げている。だがこの挑戦は今、選手村の食堂で、肉好きのアスリートたちの旺盛な食欲という強敵に直面している。

 約40棟の低層タワーが連なる選手村には大会期間中、約1万500人のアスリートが滞在する。

 パリ五輪大会組織委員会のトニー・エスタンゲ(Tony Estanguet)会長は6月に行われた選手村食堂の試験オープンの際、排出量削減目標を達成するためにベジタリアンメニューを多く提供すると語った。

 組織委員会は、美食の国フランスを訪れる人々の期待を裏切らないことを約束し、仏ケータリング事業大手「ソデクソ(Sodexo)」に委託した食事提供のアドバイザーとして、レストランガイド・ミシュラン(Michelin)の星付きシェフらを迎え入れた。

 だが、パリ北郊の貧困地域に位置する選手村では、開村後の数日間、競技やトレーニングで激しく消耗した体力を回復したいアスリートたちから、肉や卵、大盛りなどのオーダーが相次いだ。

「唯一の問題は食料不足だ」。ホンジュラスの競泳選手フリオ・ホレゴ(Julio Horrego)さんは7月29日、AFPに語った。「少し驚いた」

 1日に5000キロカロリーを摂取するというホレゴ選手は前日の日曜、午前10時半に朝食を取りに食堂へ行ったが、そのときにはもう卵がまったく残っていなかった。「少し遅れて行ったら、もう足りない状態だ」

 ルーマニアのローイング選手ユリアン・チェラル(Iulian Chelaru)さんは、何か足りないものはあるかという質問に「肉だ」と即答した。後から「肉が足りなかったが、今は解決した」と付け加えた。

 ドイツの競泳選手ルーカス・マツェラト(Lucas Matzerath)さんは「最初は盛り付けの量が少なかったが、今は改善された」と語った。

 選手村の食堂には、世界中の料理を提供する六つの異なるエリアがある。毎日提供される50メニューのうち半分は、完全なベジタリアン料理だ。

 カナダのビーチバレー選手、ソフィー・ブコベック(Sophie Bukovec)さんは、「私たちは野菜が好きだから問題ない」が、「中には肉を大量に食べるアスリートもいる。彼らは解決策を模索している」と語った。

 食事提供を担当しているソデクソは7月31日、AFPに対し、食堂のメニューを調整したと説明した。

 グループの広報担当者は「卵と肉のグリル料理の需要が高いので、量を大幅に増やした」と述べた。「ここ数日で、提供している量は需要に見合ったものになっている」という。【翻訳編集】 AFPBB News