北朝鮮、米大統領選控えICBM多弾頭技術試演段階進入の可能性

AI要約

北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)多弾頭(MIRV)関連の技術を試演段階に入れている可能性が高まっており、軍事専門家らが懸念を表明している。

専門家らは、北朝鮮が多弾頭技術向上に注力していることを指摘し、軍の反論にもかかわらず状況を重要視すべきだとしている。

また、固体燃料技術や推力、再進入技術についても高度化が進んでおり、北朝鮮の脅威が増大しているという分析が示されている。

北朝鮮、米大統領選控えICBM多弾頭技術試演段階進入の可能性

11月の米大統領選挙前後に北朝鮮の高強度戦略挑発が懸念される中、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)多弾頭(MIRV)関連の技術が試演段階に入った可能性があると、軍事専門家らが評価した。軍当局は「北が欺まん、誇張している」と話すが、専門家らはICBM完成に向けた北朝鮮の「速度戦」は無視できないという評価を出したのだ。

◆ICBM多弾頭分野、3.3点から5.1点に上昇

中央日報は1日、専門家6人に依頼し、北朝鮮の核戦力化を象徴するICBMの技術分野を▼推進力▼固体燃料▼再進入技術▼多弾頭--4つに分けて評価を進めた。これを昨年8月の評価と比較した結果、進展が最も目立つ分野は多弾頭だった。3.3点から1.8点上昇した5.1点だった。1-3点が概念および技術開発段階、4-7点が技術試演および高度化段階を意味するため、この点数から技術試演段階を推論できる。

専門家らは先月26日、北朝鮮が「個別機動戦闘部(弾頭)分離および誘導操縦試験を成功裏に進行した」と発表した点に注目した。「個別機動戦闘部分離および誘導操縦試験の目的は、多弾頭による各個標的撃破能力を確保することにある」としながらだ。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が2021年1月、多弾頭個別誘導技術に関連し「研究事業の最終段階」と述べたが、実際の試験が公開されたのは初めてだった。

多弾頭、そして分離した多弾頭の姿勢を制御して誘導する後推進体(PBV)技術は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発の最終段階に挙げられるほど高い水準の技術とみることができる。このうち一つでも防ぐことができなければ大きな打撃を受ける。

◆軍、「多弾頭試験は欺まん」と反論…専門家「試験公式化、開発を意味する可能性も」

当時、合同参謀本部は「北が別のミサイルを発射して飛行初期段階で爆発したため、失敗を伏せるために欺まんと誇張をした」と反論した。

しかし真偽とは関係なく北朝鮮が多弾頭技術向上に関心を注ぐ兆候が表れたという点で、状況を重く受け止めるべきというのが、専門家らの指摘だ。国防大のクォン・ヨンス名誉教授は「北が公式に試験自体を発表したというのは開発がかなり進行したという意味かもしれない」と話した。

◆固体燃料技術、極超音速ミサイルなど外縁広げて高度化

固体燃料技術は6.5点から7.3点に上昇した。昨年12月の火星18型ICBMの3回目の試験発射のほか、今年に入って中長距離極超音速ミサイルを2回発射するなど固体燃料基盤ミサイルの外縁を広げている点から、高度化段階を越えたという評価を受けたのだ。

推力と再進入技術部門では昨年と大きな差はなく、それぞれ7.2点、5.8点だった。昨年試験発射した液体燃料基盤のICBM火星17型と固体燃料基盤のICBM火星18型ともに従来より推力を大きく高め、射程距離も米本土全域を含むほど向上した。

再進入技術に関しては北朝鮮の特別な活動が表れず、評価が制限されるという意見が多かった。ICBM完成のためには大気圏に再進入する際に発生する摂氏1万度の高温を耐える試験が必須だが、まだ北朝鮮はこれを完了していないとみられる。北朝鮮労働党の金与正(キム・ヨジョン)副部長が昨年2月「火星15型の試験発射を通じて弾頭の弾着情報を受信した」と再進入の成功を主張したが、弾頭部が非正常的に裂ける映像が公開され、失敗した可能性が高いと見なされた。

ただ、一部では北朝鮮が複数の発射体試験を継続する中で耐熱性が強い高性能炭素複合材がエンジンノズルに適用された可能性に注目している。こうした一連の試みがICBM再進入体技術の確保につながる可能性があるという見方だ。峨山政策研究院のヤン・ウク研究委員は「再進入試験自体は容易でないが、一連の発射でデータを追加で得ることはできる」と話した。