「竜巻追跡ツアー」が米国で人気沸騰、映画『ツイスターズ』で、いったいどんなツアー!?

AI要約

米国中部で行われている竜巻追跡ツアーの実態や歴史について紹介。

映画『ツイスターズ』の公開により、ストームチェイシングへの関心が高まっており、ツアーへの需要が急増している。

ストームチェイシングの人気が再燃しており、業界関係者もその影響を実感している。

「竜巻追跡ツアー」が米国で人気沸騰、映画『ツイスターズ』で、いったいどんなツアー!?

 本日公開される映画『ツイスターズ』。その予告編には、登場人物たちが竜巻に向かって全速力で車を走らせたり、花火を打ち込んだり、超巨大竜巻を破壊する計画を立てたりする様子が収められている。

 こういった危険な行為の多くは、ハリウッドの産物だ。しかし米国中部では、何十年も前から観光の目玉として竜巻などを追跡するストームチェイシングが行われている。実際に10社以上がツアーを開催しており、高いお金を払う観光客を、できる限り安全に竜巻や雲、雨、風、雹のそばに連れていっている。

 実際のストームチェイシングは、アクション満載の映画とはずいぶん印象が違う。何かに出会うまで、何時間もかけて数百キロを走り続けることもめずらしくない。嵐が始まるまで、辛抱強く待ちつづけなければならないこともある。

「ほとんどが運転で、ほんの少しアクションがあるくらいです」と話すのは、トルナディック・エクスペディション社のオーナー兼ツアーディレクター、エリック・バーンズ氏だ。「でも、見られるものはすばらしく、そこにたどり着くまでの距離と時間を一瞬で忘れてしまいます」

 最初のストームチェイサー(竜巻追跡人)と言われているのは、デビッド・ホードリーという人物だ。1956年6月、高校を卒業したばかりのホードリーは、猛烈な雨が降った翌日、故郷の米ノースダコタ州ビスマークの周辺を車で走り回り、倒れた木や切れた送電線を8ミリフィルムで撮影した。

 ホードリーが創刊し、自ら編集にあたった雑誌「ストーム・トラック」に1987年に掲載された記事には、「すぐに母なる自然の力とすばらしさに夢中になった」とある。

『ツイスターズ』の公開で、こういったツアーへの関心は高まるだろう。1996年の前作『ツイスター』のときもそうで、ストームチェイシングが一気に知られることになった。米イリノイ州にあるデュペイジ大学の気象学教授であるロナルド・ステンツ氏は、毎年春と夏に教育目的のストームチェイシングを行っているが、どこまで需要が伸び続けるのか、見通せないでいる。

「映画のおかげでストームチェイシングの人気はさらに高まると思いますが、もうすでに限界に達しています」。ステンツ氏はメールでの取材にそう答えている。

 テンペスト・ツアーズ社の顧客対応責任者であるキム・ジョージ氏は、すでに『ツイスターズ』の影響が現れはじめていると感じている。2025年のストームチェイシングのシーズン(4月中旬から6月末)はすでに完売し、2026年のツアーまでキャンセル待ちになっているという。

 ジョージ氏は電話での取材に対し、「5月初旬に2025年の募集を始めたのですが、もう大盛況でした」と話す。「6月末にはすべて完売し、キャンセル待ちの数もすごいことになっています。これまでこんなことはありませんでした。映画のおかげに違いありません。この会社に11年勤めていますが、こんなに早く完売したのは初めてです」