佐渡金山の世界遺産決定、朝鮮半島労働者「誠実に記憶にとどめる」 歴史認識の発信が焦点

AI要約

国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は、佐渡島の金山の世界文化遺産登録を決定し、日本政府が戦時中の労働環境を地元展示施設で説明することを表明した。

日本と韓国は過去の労働状況について対立してきたが、日本は展示を整備し、特に朝鮮人労働者について記憶することを約束した。

長崎市の軍艦島の登録でも同様の論争があったが、今回の佐渡金山の対応がどのような影響を持つかが注目されている。

「佐渡島(さど)の金山」(新潟県)の世界文化遺産登録を決めた27日の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会では、日本政府が戦時中の過酷な労働環境を地元の展示施設で説明することを表明した。韓国側の反発解消につなげた格好だが、日本側の歴史認識を国際社会に正しく伝えられるかが焦点となる。

「特に朝鮮半島出身労働者を誠実に記憶にとどめる」。日本側は委員会で韓国を含む委員国にこう述べ、すでに展示を整備したことを説明した。

韓国側は「全ての歴史には光と影があり、世界遺産はそのどちらも記憶されなくてはならない」などと応答し、日本の対応に理解を示した。

外務省などによると、佐渡金山では、朝鮮人労働者が削岩や運搬など危険な労働に従事したことに言及、労働争議の記録などが展示された。韓国側が「強制労働」であると反発してきたことを踏まえれば、日本側が本来目指した文化遺産の価値の発信につながるのかどうか注視が必要となる。

2015年に登録された長崎市の端島(通称・軍艦島)を含む「明治日本の産業革命遺産」でも、「強制労働」を主張した韓国が展示施設での説明不足を訴えていた。

登録決定後、岸田文雄首相は「世界の宝となった佐渡金山を将来に引き継いでいけるよう、地元の取り組みを支援していきたい」との談話を出した。(橘川玲奈、玉崎栄次)