アカデミー賞が「男女区分」廃止へ?...ジェンダー中立の一方で「女性に不利」との批判も

AI要約

映画芸術科学アカデミーがアカデミー賞の性別区分をなくし、ジェンダー中立的な賞に変更する可能性がある。

性別区分の廃止は音楽賞や映画賞で広がりつつあり、ノンバイナリーのパフォーマーたちから支持を受けている。

一方、性別区分の廃止には批判もあり、女性に不利に働く可能性があるとの指摘もある。

アカデミー賞が「男女区分」廃止へ?...ジェンダー中立の一方で「女性に不利」との批判も

近く、アカデミー賞が大きく変わるかもしれない。この賞を主催する映画芸術科学アカデミーが主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞を、性別区分のないジェンダー中立的な賞に変更することを検討しているのだ。

音楽賞や映画賞などで性別区分の廃止が相次ぐなかで、アカデミー賞もこの流れに続こうというわけだ。ただし、映画芸術科学アカデミーのビル・クレイマーCEOは米バラエティー紙のインタビューに対して「まだ初期の検討段階」だと述べている(本誌は同アカデミーに取材に応じるよう求めている)。

このトレンドは、音楽分野でグラミー賞が2012年に、ポップス、カントリー、R&Bの最優秀パフォーマンス賞で性別区分を廃止したことをきっかけに始まった。それ以降、MTVムービー&TVアワーズ、ゴッサム賞、インディペンデント・スピリット賞なども同様の改革を行った。

映画賞や音楽賞の性別区分の廃止は、エマ・コリンやエージア・ケート・ディロンなど、ノンバイナリーのパフォーマーたちに支持されている。

この問題は、ドラマ『POSE/ポーズ』に主演したMJ・ロドリゲスがエミー賞ドラマ部門の主演女優賞にノミネートされたことをきっかけに注目されるようになった。このノミネートは、トランスジェンダーであることを公表しているパフォーマーとして初めてのことだった。

しかし、映画賞や音楽賞の性別区分を廃止することに対しては批判的な声もある。映画批評家のクリスチャン・トトや、女優のパトリシア・アークエット、ジェイミー・リー・カーティスらは、多様性を支持すると述べる一方で、賞の性別区分廃止は女性に不利に働くと主張する。

実際、アカデミー賞には既に、監督賞、脚本賞、作品賞(プロデューサーが受賞)など、性別区分のない部門がいくつかある。これらの部門の受賞者は圧倒的に男性が多い。

非営利団体「女性メディアセンター」の調べによると、07~23年の17年間にこれらの部門でアカデミー賞を受賞した人の78%が男性だ。

クレイマーは、28年のアカデミー賞創設100年に向けて、メディアを取り巻く環境の変化に対応していく意向をバラエティー紙に示した。

「アカデミーは、映画産業と、非営利の芸術・文化部門の両方にまたがって活動している。この両分野ではいずれも、ビジネスモデルの大転換を経験しつつある」と、クレイマーは述べている。

「私たちが次の100年間も繁栄し続けるためには、より多様な人々を支援しなくてはならない」