中国「シャンシャン特需」日本人ツアー人気 四川省で高まるパンダ熱

AI要約

日本出身のジャイアントパンダシャンシャンが四川省で人気を集めている。

四川省のパンダ保護研究センターやパンダ専門書店に多くの日本人ファンが訪れている。

パンダ関連の書籍やグッズが売れ行き好調で、中国と日本の友情の象徴として注目を集めている。

中国「シャンシャン特需」日本人ツアー人気 四川省で高まるパンダ熱

 ジャイアントパンダの古里、中国四川省ではパンダ人気がますます高まっている。東京の上野動物園で生まれ、四川省に返還されたシャンシャン(香香、雌)が暮らす施設には多くの日本人ファンが訪れ、盛り上がりに一役買っている。中国唯一のパンダ専門書店の評判も上々で、経済効果が期待されている。(四川省で、伊藤完司)

 シャンシャンが暮らす四川省雅安市の「中国ジャイアントパンダ保護研究センター雅安碧峰峡(へきほうきょう)基地」には日本人観光客がひっきりなしに訪れている。

 同基地はジャイアントパンダ22頭(昨年末時点)を飼育し、繁殖や研究も担う。シャンシャンを見学できるのは飼育スペースの一角。7歳の誕生日だった6月12日には日本人を含む数百人のファンが駆けつけた。「シャンシャンは人が大勢いると喜ぶ。今日もサービス満点です」。日本から来た女性ファンは感激していた。

 中国の総合ランキングサイトの「10大スターパンダ」でシャンシャンは5位に入る。2017年に上野動物園で父リーリーと母シンシンの間に生まれ、昨年2月に四川省に戻った。日本で生まれ育ったことから「留学帰りの娘のような感覚で人気がある」(地元のメディア関係者)という。

 人民日報(電子版)はシャンシャン関連のツアーについて「日本から中国への観光市場に新たな活力を注入した」と評価する。外国人がスパイ容疑で相次いで拘束されたことで中国を訪れる旅行客数が伸び悩む中、日本からの思わぬ特需に沸いている。

 成都中心部から10キロほど離れた「成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地」。ここでは中国で断トツの人気を誇る雌のホーファ(和花)が公開されている。

 争いを好まない穏やかな性格で木登りが苦手だったり、仲間に餌を奪われたりする姿に多くの中国人が癒やされているのだとか。四川省の関係者は「見に行くなら覚悟が必要。3時間並んで、3分しか見られないことも少なくない」と、その人気ぶりを語る。

 成都中心部にある「パンダ書店」(中国名・熊猫書店)も多くの観光客でにぎわう。店によると、パンダ専門の書店は「中国でも唯一」。シャンシャンを特集した本も人気だという。

  元々は一般書籍を扱う書店だったが、昨年7月、パンダに特化した内容にリニューアル。パンダ関連の本は220種類以上で、改装後に客数が約20倍になったという。

 特に人気があるのは、シャンシャンの成長を記録した写真集「熊猫香香」(68元、約1500円)。上野動物園時代は、パンダの撮影で有名な日本人カメラマン、高氏貴博さんの写真が掲載されている。4月の発売から1カ月間で180冊売れたという。

 店内には書籍のほか、ぬいぐるみや食器などのパンダグッズがずらりと並び、喫茶コーナーではパンダ形のケーキを食べることができる。

 店長の程宇宣さん(28)は「シャンシャンは東京育ちの『お姫様』として中国人にも人気。日中両国の友情の象徴になった」と喜んでいた。