トランプ氏の「バイデンより倒しやすい発言」「CM攻撃」は恐怖の裏返し? ハリス氏の“強さ”と“弱点”に迫る

AI要約

バイデン大統領が新型コロナウイルス感染と孤独感からの撤退をSNSで発表し、後継にハリス副大統領を推薦。撤退の理由や決断の経緯が注目される中、民主党内での混乱やトランプ氏への反転攻勢を図るためのタイミングが重要とされる。

バイデン氏の声明では再選を目指してきたが、民主党やアメリカのために身を引くことを選択したと述べ、ハリス氏を全面的に支持し、トランプ氏を打ち負かす団結を訴えた。

長年の盟友からの支持を得られず、民主党内での圧力や献金者からの資金提供の停止などが影響し、撤退の必要性を感じたバイデン氏。選挙活動再開を予告していたこともあって、撤退のタイミングは意外だが、トランプ氏との戦いを考えれば決断を迫られていた。

トランプ氏の「バイデンより倒しやすい発言」「CM攻撃」は恐怖の裏返し? ハリス氏の“強さ”と“弱点”に迫る

 バイデン大統領が11月の大統領選から撤退を表明し、後継にハリス副大統領を推薦した。ハリス氏とはどのような人物なのか? この先どうなっていくのか? ANNワシントン支局の梶川幸司支局長に聞いた。

━━バイデン氏は新型コロナウイルスに感染していたが、その中で撤退を決定したのか?

「バイデン氏は先週新型コロナウイルスに感染し、デラウェア州にある別荘で療養中だった。この週末にも撤退を決断するのではないかという観測があった一方で、選挙戦を続ける意思は硬いという見方もあり、我々も緊張感を持って見守っていたが、これほど重大な決定をまさかSNSで発表するとは考えていなかった」

━━SNSでの発表は異例なことなのか?

「とても異例だ。通常、これほど重大な決断であればホワイトハウスの大統領執務室『オーバルオフィス』から国民向けに演説し、テレビ中継される。しかし、バイデン氏は自らのSNSに声明の文書を貼り付ける形で公開した。ニューヨーク・タイムズによると、バイデン氏は土曜の20日夜に側近二人を呼び、撤退を伝えるメッセージ作りに着手したという。最終的に決断したのは21日になってからで、後継に推薦したハリス氏に伝えたのも21日だったという。撤退を知っていたのは本当に一握りの側近で、SNSで発表されるまで情報が外に漏れなかった。バイデン氏はテレビ討論会で“失敗”した後、信頼していた盟友からも支持を得られず孤独を感じ、報道を見て怒りを覚えたという。そのいった経緯から、情報を自らコントロールできるSNSによる発信を選んだのかもしれない」

━━バイデン氏は撤退の声明でどんなことを伝えたのか?

「バイデン氏は声明の中で、自身の実績をあげた上で『再選を目指してきたが、身を引いて大統領の残りの任期に専念することが、民主党やアメリカにとって最善だと考えた。決断の詳細は今週、国民に話す』としている。また、それに続く投稿でハリス副大統領を『党の候補者として全面的に支持し、推薦したい。民主党は今こそ団結して、トランプ氏を打ち負かす時だ』と訴えた」

━━なぜ、このタイミングだったのか?

「バイデン氏は19日に支持者向けのメッセージで『来週、選挙活動を再開することを楽しみにしている』と伝えていたが、その前日からオバマ元大統領やペロシ元下院議長といった長年の盟友が『バイデン氏じゃ戦えない』と周辺に伝えていたとの報道が相次いだこともあり、民主党内で撤退を求める議員が急増した。また、有力な献金者からの資金提供もストップしかねないなど、先週から“包囲網”は狭まり、撤退を求める圧力に耐えられなくなっていたのでは。バイデン氏としては選挙戦を続けたいという思いはあったものの、民主党内の混乱を最小限にとどめ、トランプ氏への反転攻勢を図るにはタイミングが重要だった。来月の民主党大会まで残された時間は少なく、トランプ氏の勢いも増すばかりであるため、このタイミングで決めるしかなかったのだと思われる」