アフガン撤退、ウクライナ侵攻…バイデン氏、「危機の連鎖」に対処した3年半

AI要約

米大統領バイデン氏が、アフガニスタンの米軍撤収やロシアのウクライナ侵略、中東情勢などの危機への対処に追われる中、今秋の米大統領選への出馬を撤退した。

アフガン戦争終結やタリバンの政権復活など、米軍撤収の代償は大きく、世界情勢が混迷する中、民主主義陣営の結束強化を試みるバイデン氏。

中国の脅威に対抗するため、同盟国との軍事関係強化や安全保障協力を進めるバイデン氏の行動に注目が集まる。

アフガン撤退、ウクライナ侵攻…バイデン氏、「危機の連鎖」に対処した3年半

今秋の米大統領選からの撤退を21日表明したバイデン大統領。アフガニスタンから駐留米軍を撤収させた後の混乱、ロシアによるウクライナ侵略、中東での紛争など、雪崩のように相次ぐ「危機の連鎖」への対処に追われた。

「アフガン戦争終結」を大統領選の公約の1つに掲げ当選したバイデン氏は2021年8月、同国からの米軍撤収を完了。01年の米中枢同時テロを契機に始まり、「米史上最も長い戦争」とも呼ばれた20年の軍事作戦に終止符を打った。

ただ、撤収の代償は大きかった。イスラム原理主義勢力タリバンの政権復活を許し、撤収の際の混乱ぶりはベトナム戦争のサイゴン陥落(1975年)と重ねて報じられた。中国やロシア、北朝鮮、イランといった現状変更勢力が伸長・連携する契機にもなった。

2022年2月にはロシアがウクライナに侵攻。23年10月にはイスラム原理主義組織ハマスがイスラエルを奇襲し、同国がパレスチナ自治区ガザで報復攻撃をするなど、混迷状態に陥った中東情勢の対応にも追われた。

一方、バイデン氏は21年12月、民主主義陣営の結束強化を図る「民主主義サミット」を主宰。約110の国・地域の指導者らが参加した。その後も2回開催されたサミットでは、中露など権威主義国家に対抗する緊密な「連帯」を再確認した。

太平洋への進出を図る中国の脅威に対しては、同盟国との軍事関係を次々と強化。21年9月、豪州への原子力潜水艦導入を柱とする米英豪の安全保障枠組み「オーカス(AUKUS)」を創設した。23年8月には日米韓首脳会談を開催し、3カ国の安全保障協力を強化することで合意した。(本間英士)