イスラエルのイエメン空爆、サウジの「黙認」めぐり議論…拡大する戦争、国連は自制要求

AI要約

イスラエルがイエメンを直接攻撃し、イエメンのフーシ派が再報復に出て混乱がさらに大きくなる中、サウジアラビアも戦争への巻き込みを危惧している。

イスラエルがホデイダを長距離空爆したことやサウジアラビアとの関係について明確な立場が求められている。

国際社会ではイスラエルの空爆によるイエメンの民間人被害への懸念が高まり、国連も自制を促している。

イスラエルがイエメンを直接攻撃しイエメンのフーシ派が再報復に出て混乱がさらに大きくなる中で、中東の盟主であるサウジアラビアまで紛争に巻き込まれようとしている。国連をはじめとする国際社会は自制を要求しているが、イスラエルと「抵抗の軸」の間の戦争拡大の懸念は高まっている。

タイムズ・オブ・イスラエルなど現地メディアによると、サウジアラビア国防省は「サウジはイスラエルのイエメン空爆と何の関連もなく、いかなる介入もしていない」と明らかにした。20日にイスラエルがイエメン北部のホデイダを空爆した直後に「サウジがこの作戦を知りながらも黙認した」という主張が出てきたことに対する反論だ。

こうした疑惑が出てきたのは、イスラエルからホデイダまでの距離が1700キロメートルで、作戦名を「ロングアーム」とするほどの長距離であるためだ。イスラエル軍が最新鋭F35戦闘機をはじめとしてF15、偵察機などを動員してホデイダ港の石油精製施設などを攻撃し空中給油機まで出撃させた理由だ。このためイスラエル軍の戦闘機編隊がイスラエルとイエメンの間にあるサウジ領空を横切った可能性が提起された。イスラエルはどのルートを利用したのか明らかにしていない。

サウジがイスラエルの作戦計画を知りながら黙認したという推測が出るのはまた別の理由もある。昨年10月にガザ地区戦争が勃発する前にサウジはイスラエルとの修交に向け水面下での作業を進めていた。現在は戦争のため交渉に進展はないが、未来新都市計画のネオムプロジェクトなどを推進するために安全保障が切実なサウジとしてはイスラエルとにらみ合ってばかりもいられない。

それでも「イスラエルを黙認した」という批判を知らぬふりでやり過ごすこともできない。場合によっては親イラン勢力であるフーシ派を刺激しかねないからだ。サウジは2014年イエメン内戦勃発後に政府軍を積極的に支援してきたが、2022年ごろに仲介者に旋回してからフーシ派と積極的に会談に出てきた。サウジが「いかなる勢力も領空を侵犯するのを許容しないだろう」という原則的立場を再度強調する理由だ。

◇中東で戦争拡大の一途…国連は自制を要求

一方、イエメン空爆と関連し民間人の被害が大きいという報道が相次ぎ国際社会の懸念が大きくなっている。ニューヨーク・タイムズは「イスラエルの爆撃はフーシ派の追加挑発を防げないだろう。むしろ内戦で深刻な人道主義的危機に陥っているイエメンの民間人の苦痛だけさらに大きくなるものとみられる」と指摘した。イスラエル軍はフーシ派がホデイダ港を通じイランから武器を持ち込んでいるとしてここを空爆した。しかしこの港は援助・輸入物品などが入ってくる主要インフラでもある。

これと関連し国連のグテーレス事務総長はこの日声明を出し、「イエメンのホデイダ港とその周辺地域で発生した空爆に懸念を示す。すべての当事者が最大限自制力を発揮することを促す」と強調した。