人体を冷凍保存して蘇生するスタートアップはどこまで技術開発が進んでいる?

AI要約

天才と称された人物が立ち上げたスタートアップが人体を冷凍保存し、蘇生する技術を開発している。病気の人を将来治療法が確立した時に解凍し治療する可能性もある。

これまでの研究では冷凍保存に重点が置かれていたが、蘇生方法の研究が必要だとして、クレードル・ヘルスケア社はその技術を追求している。

創業者のローラ・デミング氏はこの技術に絶対の自信を持ち、長年の研究を経てスタートアップを設立した。

人体を冷凍保存して蘇生するスタートアップはどこまで技術開発が進んでいる?

人体を冷凍して生き返らせる──そんなSF映画の世界のような技術に取り組むスタートアップがある。天才と称された人物が立ち上げたスタートアップは、どこまで技術の研究が進んでいるのか。謎に包まれた研究室を米経済メディアが訪ねた。

不老長寿という研究分野は、いわばなんでもありで、大風呂敷を広げる人が多い。そんな研究分野で10代の頃からベンチャーキャピタリストとして仕事をしてきたのがローラ・デミング(30)だ。

この10年で、この分野でもっとも目が利く投資家の一人として頭角を現した。そんな彼女がベンチャーキャピタリストとしての仕事を中断する。これからは自分が起ち上げた会社の経営に本腰を入れ、不老長寿研究のなかでも、とくに物議を醸すテクノロジーの開発に取り組むのだという。

デミングが2024年6月、世間に対してお披露目したのがクレードル・ヘルスケアという会社だ。それまでの3年間、デミングはこの会社を極秘で経営してきた。

同社が目指すのは、人体を冷凍保存した後、それを元通りの温度で蘇生する技術の開発だ。この技術が実現すれば、病気の人を冷凍状態で保存し、未来の世界でその病気の治療法が確立したら、解凍して蘇生する道もできるという。

人体の冷凍保存に関する研究は、数十年前から研究者や企業によって続けられてきた。だが、これが世間一般の人も使う技術になるまでには、まだいくつもの大発見が必要だろう。人体の冷凍保存と解凍に関しては発見できることがまだ数多く残っており、クレードル社がその技術を実現できることにデミングは賭けているとも言えるだろう。

デミングに言わせると、これまでの企業の研究は、冷凍保存ばかりに目が向いていて、蘇生する方法の研究が疎かになっていたという。「私たちが目指すのは蘇生可能な人体冷凍保存です。人体の機能を損ねずに解凍できる冷凍保存方法を確立したいのです」

デミングがこのスタートアップについて語るのは今回が初めてだ。

「私はこの課題について何年も考えてきました。絶対にできるという自信がなければ、この技術の開発に取り組んだり、この会社に注ぎ込む労力を倍増させたりはしません」