トランプの副大統領候補バンスは「連邦政府の解体」を提言する「プロジェクト2025」の信奉者?

AI要約

トランプ前大統領が共和党大統領候補に指名され、副大統領候補にバンス上院議員が選ばれた。

バンスはベストセラー作家で政策提言書「プロジェクト2025」の関係で注目されており、ヘリテージ財団とのつながりも強い。

バンスの政策理念や活動に対する賛否両論が巻き起こっており、選挙戦が激化しつつある。

トランプの副大統領候補バンスは「連邦政府の解体」を提言する「プロジェクト2025」の信奉者?

アメリカの共和党全国大会の初日にあたる7月15日、ドナルド・トランプ前大統領は正式に共和党大統領候補に指名され、副大統領候補にはJ・D・バンス上院議員を選んだと発表した。オハイオ州選出の上院議員であるバンスはベストセラー作家としても有名だが、11月の大統領選に向けて全く別のスポットライトを浴びる立場になった。

バンスは2016年、製造業の衰退で貧しくなった中西部の暮らしを描いた回顧録「ヒルベリー・エレジー」(邦訳:光文社)で一躍注目を集め、その後2022年に上院選に出て当選した。副大統領候補の1人として名前が浮上したここ数カ月、過去の言動や人間関係が注目されていた。

その一例が、政策構想「プロジェクト2025」をまとめた保守系シンクタンク、ヘリテージ財団との関係だ。

「プロジェクト2025」は、次の共和党大統領のための政策提言集として作成されたもの。具体的には、連邦政府の解体的見直しや、政府職員がより大統領に忠誠を尽くすよう人事を一新するなど、現在の官僚や政府職員を震え上がらせる内容だ。

トランプが副大統領候補はバンスと発表した後、民主党全国委員会(DNC)のジェイミー・ハリソン委員長は、声明でこう述べた。「J・D・バンスはMAGA(アメリカを再び偉大に)を体現する存在だ。現実離れした過激な政策を掲げ、トランプが『プロジェクト2025』の提言をトランプがアメリカ国民に押しつける手助けをする」

■ヘリテージ財団が絶賛

ヘリテージ財団のケビン・ロバーツ会長は、15日にウィスコンシン州ミルウォーキーで開催した同財団の「ポリシー・フェスト」で、自身はバンスの「いい友達」だと述べた。さらに、ヘリテージ財団はバンスを副大統領候補に選ぶよう内々にトランプに働きかけていたことも明らかにした、とAP通信は報じている。

ロバーツはバンスについて、「彼は人の話を聞く。思慮深い。面白いところもある。彼と私は生まれ育った環境も似ていて、困難な子ども時代を過ごした。だから、顔を合わせた途端に意気投合した。もちろん、彼は今後も自らの信念を持った男であり続けるだろうが、我々のような正統な保守派と共に働くべきだ」

「政策について言えば、彼はこの国が今どういう時期にいるかを理解している。つまり、置き去りにされたアメリカ国民のための政策を実行する時間は限られているということだ」

一方、X(旧ツイッター)のジョー・バイデン大統領の選挙活動用アカウント「@BidenHQ」は7月9日、ある動画を投稿した。この動画には、2023年にヘリテージ財団が開催したリーダーシップ・サミットで、バンスが話をする様子が収められている。

バイデン陣営は、以下のようなキャプションをつけていた。「トランプの副大統領候補に取りざたされているJ・D・バンスは、『プロジェクト2025』をまとめたリーダーたちの『素晴らしい仕事ぶり』に感謝した。トランプのために、全米で人工妊娠中絶を禁止し、社会保障を削減する仕事ぶりに、だ」