「狙撃場所に警官配置していた」 トランプ氏銃撃、食い違う主張

AI要約

米東部ペンシルベニア州でトランプ前大統領が銃撃された事件で、警護隊と地元警察の主張が食い違っており、犯人がいた建物の安全確保に関して疑義が生じている。

容疑者は半自動小銃AR15でトランプ氏を狙撃し、事件当日の朝にはしごを買っていた可能性が報じられている。

狙撃手が隣の建物に配置されていたとする地元警察の説明と、不審者を指摘した目撃者の声など、事件の詳細が明らかになっている。

「狙撃場所に警官配置していた」 トランプ氏銃撃、食い違う主張

 米東部ペンシルベニア州で共和党のトランプ前大統領が選挙集会中に銃撃された事件で、大統領警護隊(シークレットサービス)のキンバリー・チートル長官は15日、米ABCニュースとのインタビューで、容疑者が狙撃場所に選んだ建物内には、地元警察が配置されていたと述べた。

 ただ、地元警察の関係者は翌16日、米紙ニューヨーク・タイムズに対し、人員は隣の建物に配置したと説明。警護隊と警察で主張が食い違っており、今後検証されることになりそうだ。

 事件は13日夕に発生。トーマス・クルックス容疑者(20)が、演説台から約120~130メートル離れた会場外の建物の屋上から半自動小銃AR15でトランプ氏を狙撃したとみられる。クルックス容疑者が事件当日の朝、ホームセンターで長さ1・5メートルのはしごを買っていたとの情報もある。

 チートル氏はABCに対し、犯人がいた建物の安全確保は地元当局が担っていたと説明。「地元警察は(容疑者と同じ)建物内にいた。周囲(の警備)を担当していた」と語った。事実ならば、犯人は地元警察が配置されている中、建物をよじ登り、屋上に到達した可能性がある。

 一方、地元警察の関係者はニューヨーク・タイムズに対し、狙撃手は容疑者と同じ建物ではなく隣の建物の窓側に配置されていたとした。狙撃手は当時、選挙集会の参加者の動向に注意を払っており、建物の監視は任務外だったと述べた。

 英BBCは、トランプ氏が登壇する直前、建物の屋上にライフルを持った不審者がいることを警察官に指摘したという目撃者の声を報じている。

 警護隊は現職に加え、元職の大統領の警備も担当する。選挙集会のような大規模イベントが開かれる場合には警備を強化するため、地元警察も動員される。ただ、警備区域は警護隊が決めている。【ニューヨーク中村聡也】