「星条旗が背景の写真は完璧すぎる」…トランプ襲撃「自作自演」陰謀論がはびこる

AI要約

米国のドナルド・トランプ前大統領を狙った銃撃事件後、オンライン上では陰謀論や虚偽の情報が拡散されており、二極化とSNSの影響力が浮き彫りになっている。

銃撃事件直後にSNS上でトランプ前大統領に関する投稿が急増し、同情論だけでなく根拠のない主張や虚偽の情報も広まっている。

根拠のない主張や陰謀論は閉鎖的な空間で拡散され、SNSがその増幅役割を果たしている。また、商業的な利用も見られ、極端主義者の影響力が問題となっている。

 米国のドナルド・トランプ前大統領を狙った銃撃事件が強い衝撃を引き起こしているなか、オンライン上では陰謀論や虚偽の情報があふれていると、AP通信が14日(現地時間)報じた。このような現象は、米国政治の深刻な二極化とSNSに虚偽の情報があふれかえっている現象を示す兆候だとする指摘が出ている。

 この日、オンライン・トラフィック調査会社「ピークマトリックス」によると、銃撃事件直後の数時間にX(旧ツイッター)やフェイスブック、インスタグラム、TikTokなどのSNSには、トランプ前大統領に関する投稿や動画が通常より17倍も急増した。投稿の多くはトランプ前大統領に対する同情論だったが、これに劣らず多くの投稿には根拠のない主張と虚偽の情報が含まれていた。

 一部の人たちは、今回の銃撃事件が操作や自作自演または演出されたものだとする陰謀論を主張した。Xでは「現場では誰も逃げたり恐怖の状態に陥らなかったし、実際の銃声を聞いた人は誰もいない」として、「信じられない。操作されたようだ」とする内容の投稿は、表示回数が100万以上に達した。また別の利用者は、トランプ前大統領の襲撃後の顔から血痕を消さないまま警護に囲まれ拳を握りしめた写真について、「はためく星条旗を背景に撮った姿は完璧すぎる」として、操作説を提起した。これ以外にも、多くの投稿がトランプ前大統領が同情心と支持を得るために操作した事件のようだと主張しており、多くの人が投稿を拡散した。

 逆に、「トランプ前大統領に対する暗殺命令が、中央情報局(CIA)から出た」とする陰謀論も出回った。また、バラク・オバマ前大統領、ヒラリー・クリントン元国務長官、マイク・ペンス前副大統領が背後にいると論じられ、ジョー・バイデン大統領が直接命令を出したという主張も広まった。共和党出身のマイク・コリンズ下院議員は、バイデン大統領が8日に選挙資金集めのイベントで、「トランプを標的の中央に置かなければならないとき」だと言った事実を取りあげ、「ジョー・バイデンが命令を出した」という内容をXに投稿し、物議を醸すと「根拠のない発言」だとして撤回する騒動を引き起こした。

 このような根拠のない虚偽の情報や陰謀論は、後で事件の輪郭が明らかになると撤回される場合もあるが、大部分は、各派の党派性が同じチャットルームのような閉鎖空間を通じて共有され、伝播していった。イスラエルの調査企業「サイアブラ」によると、SNSで「偽りの暗殺」「銃撃演出」というハッシュタグが付いた投稿は、45%が根拠のない内容だ。SNSがこのような根拠のない主張を増幅する役割を果たしているということだ。米国外交協会のジェイコプ・ウェア氏は「このような瞬間こそが、オンラインにおける極端主義者の遊び場」だとし、「人々が自分たちのイデオロギーを広く拡散する循環構造に陥る」と述べた。

 このような状況をいち早く商業的に利用しようとする者たちも現れた。Xでは「誇らしい愛国者」と名乗るアカウントが、いわゆる「トランプ暗殺試みカード」を販売し、トランプ支持者を対象に「強く対抗してあなたの支持をみせてほしい」と訴えた。

パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )