英高級誌が「日本橋の弁当」から弁ずる日本経済のパラドックス 熱いのか冷めているのか…

AI要約

1991年から2021年までのあいだ、日本の年間インフレ率は平均で0.35%だった。だがもはやそうではない。

2024年3月、日本銀行はこの17年間で初めて利率を上げ、マイナス金利という実験に世界で最後に終止符を打った。日経平均株価も最高値を更新し、失われた数十年は終わったかのようだ。

投資銀行の「モルガン・スタンレー」は、「再生日本」を売り込んでいるが、暗い見方も存在し、経済の将来には懸念もある。

英高級誌が「日本橋の弁当」から弁ずる日本経済のパラドックス 熱いのか冷めているのか…

日本経済が動いている。日本はようやく復活したのか? あるいは少子高齢化と共に衰退していくのか? 英高級誌「エコノミスト」が東京の日本橋に取材し、日本経済の行方を探る。

日本経済を過去30年の大部分で特徴づけてきたのは、デフレーションと停滞、国際的な影響力の低下だった。だがもはやそうではない。

1991年から2021年までのあいだ、日本の年間インフレ率は平均で0.35%だった。だがインフレ率は2022年4月以来、毎月2%超を保っている。

2024年3月、日本銀行はこの17年間で初めて利率を上げ、マイナス金利という実験に世界で最後に終止符を打った。7月末の会合でさらなる利上げが議論されるだろう。

日経平均株価はこの2月にバブル時代の最高値を更新した。東証株価指数も1990年以来で最高値を更新したばかりだ。失われた数十年は終わったかのようだ。

だが次に何が起こるのか? 好機を見出す人もいる。日本は今度こそほんとうに戻ってきたと楽観主義者らは誇らしげに言う。

投資銀行の「モルガン・スタンレー」は、「再生日本」を売り込んでいる。より高いインフレ率とよりダイナミックな企業が日本を成長軌道へと連れ戻してくれるので、同国は国債を抑え、世界の経済大国としての地位を守れるだろうというわけだ。

日本は、サプライチェーン強化を模索するハイテク企業が目指す場所にもなっている。台湾の半導体大手「TSMC」は、日本での新たな製造工場に何十億ドルもつぎ込んでいる。

暗い見方をする人もいる。経済が3四半期連続で縮小するか成長なしだった日本は、すでにスタグフレーション(物価上昇下での景気後退)に陥っていると主張する向きもある。

長期的な成長の可能性は低いままであり、日本円の価値は急速に下落し、少子高齢化という逆風も迫っている。日本をこの先待ち受けるのは、中くらいの経済、重くのしかかる負債、弱い通貨、高齢化する労働力だと悲観主義者らは心配している。