<チャイナテックの逆襲>韓国製が90%だった折りたたみ有機EL、いまは中国製が53%(2)

AI要約

ディスプレー産業は大規模な設備投資が必要で伝統的に一握りの企業が市場を独占してきた。中国がこの市場を独占する可能性があり、韓国は中国の独占を防ぐ最後の手段として重要な存在である。

専門家らは、ディスプレー産業の競争力を維持するためには、中小企業の有機ELへの転換を支援し、政府の果敢な投資と支援が必要であると指摘している。

必要な投資に対する税制優遇や政府の適時支援が重要であり、政府が進んで産業の成長を促進する必要がある。

◇韓国、中国の独占防げるか

大規模設備投資が必要なディスプレー産業は伝統的に少数の企業が寡占して市場を主導してきた。かつての日本がそうだったし、この20年間は韓国がそうした。今後この主導権が中国企業に渡る場合、中国が世界のディスプレー供給網を掌握し武器化する可能性もある。韓国産業研究院のナム・サンウク新産業室副研究員は先月韓国科学技術団体総連合会の主催で開かれたディスプレー産業革新フォーラムで、「ディスプレーは価格帯が高い部品で、消費者が感じる品質の違いも大きいため安定した供給網の確保が重要だ。経済安全保障の側面からとても重要な産業」と話した。

世界のディスプレー業界では韓国が中国の独占を防ぐ唯一の対案に選ばれる。日本のJOLEDは昨年破綻し、台湾企業も収益性悪化で新規投資がほとんど中断された。中国は世界の液晶パネルの63%(2023年)を生産しているが、2027年にはその割合が78%に至達する見通しだ。LCDより画質が優れて高価な有機ELでも中国の割合は2027年に46%まで拡大すると予測される。韓国ディスプレー産業協会のイ・サンジン産業政策本部常務は「LCDに続き有機ELまで中国中心の供給網が形成される場合、世界の情報通信技術(ICT)産業は中国に依存するほかなくなるだろう」と指摘した。

◇有機EL転換し政府支援強化を

専門家らはディスプレー産業の競争力を育てるためには素材・部品・装備中小企業の有機EL転換を支援し、企業の果敢な投資と政府支援が必要と指摘する。西江(ソガン)大学のパク・ドンゴン客員教授(元サムスンディスプレー社長)は「サムスンとLGはLCD事業を中断したが、中小企業の中には中国と取引してLCD事業を維持し中国のディスプレー産業を後押しする所が多い。政府がこれら企業の事業転換を助け有機EL産業の競争力を育てられるよう支援しなければならない」と話した。

特に先端技術の超格差を維持するための果敢な投資が必要だ。韓国工学翰林院傘下の産業未来戦略委員会は、「2040年韓国を率いる次世代核心ディスプレー技術」として、シリコン基板上に形成する有機ELディスプレーのOLEDoSとマイクロLEDなどを挙げた。パク教授は「韓国の半導体産業と融合できるOLEDoSやマイクロLEDの基本技術と知的財産(IP)確保、専門人材養成にもっと投資しなければならない」と話した。サムスンディスプレーは昨年5月にOLEDoS企業のイマジンを買収し、LGディスプレーはSKハイニックスと組んで最大1万ニットの明るさのOLEDoS技術を開発した。マイクロLEDも両社ともに技術開発に力を入れているところだ。

こうした投資に対する税制優遇など政府の適時支援も重要だ。ナム・サンウク研究委員は「日本がディスプレー事業復活を試みたが失敗したように、この産業は一度倒れたら後で回復させるのは難しい。韓国が有機EL市場をまだ掌握しているいま、政府が規制緩和、所得控除、金融支援にさらに積極的に取り組まなければならない」と話した。