バイデン大統領に“出馬辞退”求める声 本人は継続宣言するも…TV討論後の米大統領選

AI要約

バイデン大統領が批判を受けた討論会を経て選挙戦継続を宣言。民主党内から辞退要求も出る中、オバマ元大統領が冷静に判断を呼びかけ。

トランプ陣営は勝算を高く評価し、バイデン氏の発言で自信を深める。世論調査では継続支持が55%。

討論会は民主党内を揺さぶり、バイデン氏のパフォーマンスが焦点に。選挙戦は厳しい展開になる可能性。

バイデン大統領に“出馬辞退”求める声 本人は継続宣言するも…TV討論後の米大統領選

精彩を欠いたと大きな批判を浴びた討論会を受けて、民主党内からバイデン大統領に出馬辞退を求める声が噴出。ニューヨーク・タイムズが社説で選挙戦からの撤退を求めるなど、波紋が広がっている。

そんな中、バイデン氏本人は、選挙への出馬の継続を宣言した。大統領選の今後の行方は。

6月27日に行われた1回目のテレビ討論会で精彩を欠いたと批判されたバイデン大統領が、翌日の集会で、討論会について、以下のように言及し、自身のパフォーマンスが低調だったことを認めた。

「自分がもう若くないことは分かっている。以前のように楽に歩くことはできないし滑らかに話すこともできない。以前ほど討論もうまくないが、自分が今何をしているのかは分かっている」

さらに、「私は真実を語るすべを知っているし善悪を見極める方法も分かっている。大統領職を遂行する方法、物事をやり遂げる方法も分かっている」と述べ、選挙戦を継続すると強調した。

民主党内からも、討論会に対して批判がある中、オバマ元大統領は人々に冷静に判断するよう、自身のSNSで呼びかけを行った。

「討論会で悪い夜が訪れることはある。しかし今回の選挙は、生涯を通じて一般の人々のために戦ってきた人物と、自分のことしか考えていない人物との選択であることに変わりはない。真実を語り 善悪をわきまえ、それをアメリカ国民に率直に伝える人物と、自分の利益のために嘘をつく人物との選択だ。昨夜もそれは変わらず、だからこそ11月は危機に瀕している」

このオバマ元大統領の呼びかけについて、前嶋和弘氏(上智大学教授)は以下のように分析する。

オバマ氏とバイデン氏は、前大統領と前副大統領という関係性もあり、年が離れた兄弟のように仲がいい。共に動き、ダメージコントロールをしているのだろう。今回の呼びかけは、「このままだとトランプ氏が大統領になってしまう。バイデン氏がうまく話せなかったショックはあるかもしれないが、それぐらいで揺らぐな、冷静になれ」という民主党支持者へのメッセージだ。そもそも、討論会の内容を吟味すれば、対するトランプ氏も内容が非常に怪しげで、言いっぱなしだった。それに対してより声高に否定できなかったから駄目だと評するのも、よく考えるとおかしい。冷静に内容をよく見てみれば、バイデン氏の主張は悪くなかった、そう援護射撃をすることで民主党内に広がった動揺を抑えようという意図がみえる。

対する共和党トランプ陣営は、バイデン大統領の選挙戦継続宣言をどのように受け止めたのか。中林美恵子氏(早稲田大学教授)は、今回の討論会で、トランプ陣営は、「勝算は非常に高い」と確信したのではないかと分析した。

今回の討論会を経て、このままいけばトランプ氏の勝算は非常に高いということを確信したと思う。さらに、討論会前に共和党、あるいはトランプ陣営が力を注いで立てた戦略が非常に上手くいったということにも自信を深めていると思う。そして、これはバイデン陣営もよく自覚していると思うが、この後の民主党の戦いは非常に厳しい。バイデン氏をこのまま候補者として立てるのであれば、トランプ氏優勢で進むだろう。候補者を差し替えることになった場合も、時間がない状況下で、民主党内が混乱をきたすことが予想される。どちらに転んでもトランプ氏優勢と読めるので、トランプ氏にとっては一つ自信の種になった。そんな討論会だったのではないか。

討論会を受け、最新の世論調査が発表された。討論会の後から、バイデン氏が選挙継続を宣言した演説までの間に行われた調査だが、民主党員の55%が選挙戦継続を支持、34%が交代すべきと答えている。