[社説]「梨泰院ねつ造説」主張の尹大統領、沈黙で済まされる問題ではない

AI要約

尹大統領が梨泰院惨事をねつ造された可能性を指摘し、波紋が広がっている。キム前国会議長との会談内容が疑問視され、尹大統領は釈明を拒んでいる。国民の要求が高まり、70万人以上が弾劾訴追案への賛同を示している。

キム前国会議長は尹大統領の発言を歪曲したと否定せず、尹大統領の責任追及が進む中、尹大統領は沈黙を守っている。しかし、事実関係を明らかにし、責任を取る姿勢を示すべきだ。

尹大統領が梨泰院惨事でイ長官の責任追及を否定した背景について、極右ユーチューバーの影響や陰謀論の可能性が指摘されている。尹大統領の言動に疑問が持たれ、国民の信頼を失いかねない状況だ。

[社説]「梨泰院ねつ造説」主張の尹大統領、沈黙で済まされる問題ではない

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がキム・ジンピョ前国会議長と会った際に「梨泰院(イテウォン)惨事はねつ造された可能性がある」と述べたとの主張が波紋を広げている。与党内からも、尹大統領に自ら発言全体を公開し、釈明するよう求める声があがっている。尹大統領に対する弾劾訴追案の発議を要求する国会国民同意請願への賛同者がこの事案の公開後に急増し、30日に70万人を超えるなど、民意の衝撃と驚きも日に日に強まっている。

 尹大統領は何ら釈明せず、沈黙を守っている。無責任きわまりない。27日に大統領室が「キム前議長が対話を勝手に歪曲した」と非難したことでやり過ごせると考えているのなら、それは大きな間違いだ。キム前議長は28日夜、フェイスブックで「私の意図とは異なり、社会的に波紋が広がっていて遺憾だ」と述べたが、暴露内容そのものは否定していない。尹大統領は国民的疑惑が臨界点を越える前に、どのような話が交わされたのか、自ら明らかにすべきことは明らかにし、責任を取るべきことは責任を取る姿勢を示すべきだ。

 今回の問題の核心は、キム前議長が2022年12月に梨泰院惨事の責任を問い、イ・サンミン行政安全部長官の辞任を提案したことに対し、尹大統領が「この事故が特定勢力によって誘導され、ねつ造された事件である可能性も排除できない。その場合、イ長官を辞めさせるのは不当だ」と述べて拒否したというもの。その1カ月余り前にも尹大統領は、「責任というのは、それがある人に問うべきだ」とし、イ長官更迭論を一蹴している。尹大統領がなぜあれほどイ長官をかばうのか疑問だったが、今回その理由の一端が明らかになったわけだ。

 大統領が一部の推論のように極右ユーチューバーの陰謀論に心酔し、惨事ねつ造説を言い立て、それにもとづいてイ長官の責任を否定したのなら、国民としては改革新党のイ・ジュンソク議員の言う通り「大統領の資格」について根本的に疑問を抱くに値する事案だ。大統領室の釈明には「大統領は当時、メディアで提起された様々な疑惑をすべて調査しろと指示している」という内容も含まれている。極右の陰謀論について調査を指示したことを「メディアで提起された疑惑」とごまかそうとしたのではないか、という疑念を抱かせる。

 尹大統領はすでに、C上等兵殉職事件の捜査に激怒し、「師団長の容疑を外せ」と外圧を行使したにもかかわらず、そのことを否定し、うそで隠ぺいしようとしたという疑惑が持たれている。どのような経路で国政に関する意見に接したら、このような常識離れた言動が繰り返されるのか。尹大統領にはこのような疑問に答える義務がある。

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