韓国の来年のR&D予算24.8兆ウォン、科学界の反発で「小幅増額」

AI要約

韓国政府が来年の主要研究開発(R&D)予算を24兆8000億ウォン(約2兆9000億円)と策定し、事実上、削減前の水準をやや上回る規模となった。

政府は主に人工知能(AI)半導体、先端バイオ、量子技術の分野に3兆4000億ウォンを投入する計画で、これらの分野への投資を強化している。

基礎研究分野の予算も歴代最大規模で2兆9400億ウォンが策定され、研究者の環境改善や新しい分野の研究を支援する方針だ。

韓国政府が来年の主要研究開発(R&D)予算を24兆8000億ウォン(約2兆9000億円)と策定した。今年の予算が大幅に削減された点を勘案すると、事実上、削減前の水準をやや上回る規模だ。

科学技術情報通信部は2025年度国家研究開発事業の予算配分・調整案を第9回国家科学技術諮問会議審議会議で確定したと27日、明らかにした。計24兆8000億ウォンと、今年(21兆9000億ウォン)に比べ2兆9000億ウォン(13.2%)の増額となった。科学技術情報通信部は歴代最大規模と強調した。しかし関連予算が大幅に削減される前の2023年(24兆7000億ウォン)と比較すると1000億ウォン増にすぎないという評価が多い。

大統領室のパク・サンウク科学技術首席秘書官はこの日のブリーフィングで「財政余力がないが最善を尽くして大きな幅で増額した」とし「企画財政部が編成する一般R&D予算などが追加されればR&D予算総規模は30兆ウォンに迫ることが確実視される」と強調した。

今年のR&D予算は、昨年尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「分け合い式のR&Dはゼロベースから見直す必要がある」と指摘した後、大幅に減少した。関連予算が削減されたのは1991年以来33年ぶりだった。古いR&D慣行と非効率をなくす革新が必要という理由だったが、その後、研究環境に直接的な影響を受けた科学技術界の激しい反発が続いた。国内理工系分野の博士研究員は「政府のR&D予算削減で給与が30%減ったが、周囲には出ていくことになった研究員も少なくないため黙って我慢している」と話した。波紋が広がると4月、大統領室は来年度のR&D予算を「歴代最高水準」で編成すると明らかにした。そして27日に確定した増額案が出てきた。

政府は来年度の予算について単純な復元ではないという立場だ。科学技術情報通信部は「昨年から先導型R&Dへの体質転換という大きな政策方向の下、R&D予備妥当性調査制度廃止、革新・挑戦型R&D支援体系構築、政府出捐研究機関解除、グローバルR&D制度改善などR&D投資システム改革を推進してきた」と明らかにした。

政府はまず「ゲームチェンジャー」と呼ばれる人工知能(AI)半導体、先端バイオ、量子技術の3つの分野に3兆4000億ウォンを投入する。AI半導体分野(1兆1000億ウォン)は次世代汎用人工知能(AGI)、AI安全技術など、現在ビッグテック主導のAI生態系の限界を克服して版図を変える次世代AIに集中投資する予算だ。

先端バイオ分野(2兆10000億ウォン)ではデジタルバイオ育成基盤とバイオ製造核心技術投資を強化する。先進国に比べて大きく遅れている量子技術分野(1700億ウォン)はグローバル協力基盤を強化し、核心技術確保に対する投資を拡大する方針だ。

5月に開庁した宇宙航空庁を中心に宇宙探査・次世代発射体など宇宙経済投資、小型原子炉・無炭素エネルギー生産技術など未来エネルギー需要対応にも3兆2000億ウォンを投資することにした。

昨年の予算削減の余波が最も大きかった基礎研究分野は歴代最大規模の2兆9400億ウォンが策定された。来年は飛躍研究を新設して優秀成果者の後続研究を支援し、開拓研究を通じて新しい分野の研究ができるようにしたと、科学技術情報通信部は説明した。今年の大規模予算削減事態を経験した政府出捐研究機関には約2兆1000億ウォンを投入する。

科学界ではひとまず来年度R&D予算が昨年水準に復元されたことを歓迎する雰囲気だ。ただ、こうした予算が新進研究陣や大学院生など今年削減された予算で最も打撃が大きかった研究者の研究環境まで「復元」できるかは眺める必要があるという立場だ。