オバマ元大統領の姉も参加の「増税反対」ケニアデモ、実弾発砲で5人死亡

AI要約

ケニアで大規模な増税を盛り込んだ財政法案が議会で可決され、デモ隊が法案反対のために乱入。警察が実弾を発砲し、数人が死亡する事態となった。

法案には基本食料品や電話・インターネット使用料の増税が含まれ、年間27億ドル相当の税金が追加徴収される予定。デモ隊は政府の腐敗やぜいたくな支出に対する不満を表明。

デモは「増税反対」から「ルト下野」へと激化。大統領はデモを「反逆」と規定し、警察は鎮圧に向けて行動。国際社会からも懸念の声が上がっている。

卵など食料品価格と電話・インターネット使用料引き上げなど大規模な増税を骨子とした財政法案が25日(現地時間)、ケニア議会を通過した。「増税反対」を叫んだ一部のデモ隊が法案通過を阻止するために議会に乱入すると、警察が実弾を発砲し、少なくとも5人が死亡するなど極限状況に向かった。この日のデモにはバラク・オバマ元米大統領の異母姉アウマ・オバマ氏も参加していた。

ロイター通信、AP通信、CNN、ニューヨークタイムズ(NYT)などによると、この日のケニア議会は政府が5月に議会に提出した「財政法案2024」を賛成195票、反対106票、無効3票で可決した。この法案には卵・タマネギ・ジャガイモなど基本食料品価格の上昇、近隣の東アフリカ国家から輸入した商品、電話およびインターネット使用料、銀行送金手数料、デジタル方式で運営される事業に対する増税などが含まれた。この法案はケニアのルト大統領が14日以内に署名すれば発効する。

この日、数千人のデモ隊は法案撤回を主張しながら午前から議会の前に集まってデモを行った。警察は議会への道を封鎖しながら催涙弾・ゴム弾・放水銃などを使ってデモ隊を阻止した。しかし法案通過強行の可能性が高いと伝えられると、怒った一部のデモ隊が警察の阻止を突破して議会に乱入し、上院本会議場まで占拠した。一部の建物では炎が上がった。

ケニア警察はデモ隊を解散させる過程で実弾を発砲し、数十人の死傷者が発生した。人権団体は死者が少なくとも5人、負傷者が31人と集計したが、現場の救急隊員は10人以上が死亡し、負傷者は50人を超えると伝えた。ケニア警察が負傷したデモ隊を助けていた一部の救急隊員を殴打した後に逮捕する姿も目撃された。ケニアの議員らはかろうじて表決を終えた後、地下通路から緊急避難した。

この日、オバマ元米大統領の異母姉アウマ・オバマ氏も議会の外でデモ隊と座り込みをした。アウマ・オバマ氏はCNNの現場インタビューで「私がここにいる理由はどんなことが起きているかを目撃するため」とし「デモ隊と共に催涙弾を浴びている」と話した。

◆年27億ドル追加徴収…「政府の腐敗・ぜいたくから解決を」

ケニア政府はこの日に通過した法案に基づき、年間27億ドル相当の税金を追加で徴収することになった。ケニアは過重な負債のため、年間税収の37%を借款の利子支給に投入している。国際通貨基金(IMF)はケニア政府に対し、追加借款を受けるには財政赤字を改善するよう圧力を加えている状態だ。ケニアのヌドゥング財務相は増税をしなければ今年約15億ドルの税収不足事態が生じると警告した。

しかし昨年の所得税と健康保険料の引き上げ、石油製品に対する付加価値税の引き上げ(8%→16%)に続いて今年も政府が増税を発表すると、デモは全国に広がった。特にケニアのZ世代(1990年代半ば以降の出生者)がソーシャルメディアとクラウドファンディングを通じてデモ隊を組織・動員するなど今回のデモを主導してきた。

デモ隊は増税に先立ち州政府の腐敗、ルト政権のぜいたくな支出から減らすべきだと要求した。デモに参加した会社員ワチラさん(34)は「我々はすでに過重な税金を出していて、いかなる恩恵も受けていない。同時に政治家の裕福でぜいたくな生活を見ている」とガーディアンに伝えた。

◆デモ隊「ルト下野」vs大統領「デモは反逆」

この日の警察の発砲後、デモはさらに激しくなった。デモ隊の声は「増税反対」から「ルト下野」に変わっていると、AP通信は伝えた。首都ナイロビではブブゼラを吹きながらケニア国旗を振るデモ隊が路上でタイヤを燃やし、座り込みを続けている。ケニアの第2の都市モンバサの知事は執務室の外でデモ隊に合流し、支持の意思を表明した。カトリック司教は全国の集会で「不当な税金に対する市民の苦痛の声に耳を傾けてほしい」と政府に促した。

しかしルト大統領はこの日のデモを「反逆」、デモ隊を「平和なデモ参加者を装った犯罪者」と規定し、「いかなる代価を払っても鎮圧する」と述べた。デュアレ国防相は全国的に発生したデモを「非常事態」と見なし、保安軍を配置したと明らかにした。政府高官らはデモ隊の声を「iPhoneでTik Tokをし、ウーバーに乗り、KFCで食事をする特権層の若者による分別のない扇動」と指摘している。

国際社会はケニアに事態の収拾を促している。国連のステファン・ドゥジャリク事務総長報道官は「我々が目撃した暴力事態に強い懸念を表す」と述べた。米国を含む西側の13人の駐ケニア大使は共同声明を出し、「ケニアの議会の外の状況に大きな衝撃を受けた」と伝えた。米国務省のミラー報道官は「ナイロビを含むケニア全域で発生したデモで報告された暴力事態を非難する」とし「秩序回復、対話の場を準備するために自制してほしい」と促した。