【時視各角】韓国少子化対策の本当の反転

AI要約

朴槿恵政権が出産地図を作成し、女性に対する抗議があった

文在寅政権は少子化対策に無関心で出生率は下落した

尹錫悦大統領が対策を先延ばしにし、最近の対策が反転して出生率回復を模索している

【時視各角】韓国少子化対策の本当の反転

朴槿恵(パク・クネ)政権当時、行政自治部(現行政安全部)は「大韓民国出産地図」というホームページを作成した。地方自治体別に可妊期の女性人口の数を一けたまで表記し、ピンク色の濃度で順位を区別した地図が含まれた。低出産高齢化委員会(低高位)や女性家族部でなく自治行政部がしたのは自治体間で競争の雰囲気を形成するためだった。すぐに「女性を子どもを産む道具と見るのか」という抗議が激しくなり、ホームページは一日で閉鎖された。

文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は任期中、低高位会議を一度も開かなかった。就任初年の懇談会に一度出席したのがすべてだ。大統領は関心がないが、組織は政策を出し続けてこそ存在できるため、かけはぎのような対策づくりが慣行になった。国政最高責任者の無関心の中で合計特殊出生率は速いペースで下落した。就任2年目の2018年に初めて出生率が1を割り、政権を明け渡した2022年には0.8人まで崩れた。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は任期が終わった低高位副委員長を半年以上も空席にした。そして羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)元議員を任命したが、与党代表選挙に出られないよう懐柔するレベルだった。羅元議員が葛藤の末に辞任し、後任に任命されたキム・ヨンミ東西大教授も1年で更迭された。キム元副委員長の任命後に自ら開いた委員会で尹大統領は「政策だけで少子化問題を解決するのは難しい」「少子化が解決しなくても子どもたち明るく成長させるのが国家の責務」と述べた。女児に限り就学時期を1年早めようとしたり、精管復元手術費の支援など低出生対策に突然動き出したのも、こうした雰囲気の延長線という声があった。

さらに先週出てきた新しい対策は相当な反転だった。副首相級のコントロールタワーの名称を人口戦略企画部(暫定)に決めたのは、従来の出産奨励策から抜け出して低出生問題を人口戦略の観点で扱うという意志とみられる。出産・育児休暇をさらに長く堂々と使えるようにした点、保育・住宅費用の負担を減らすことに集中した細部対策も目を引く。共稼ぎ夫婦は所得制限のため支援対象から外れたり、子どもができても広い家への引っ越しを考慮しないなど問題点がある制度にも手をつけた。駐車・公園入場・税制など小さな不便にも目を向けた。出産を促す形から「このように改善したので産んでみるのはどうか」と誘惑する方式に転換する兆しが見える。

韓国銀行(韓銀)は昨年末、深層報告書を通じて出生率が上がるシナリオ6件を提示した。このうち家族関連の政府支出(0.055人)、育児休職実質使用率(0.096人)、青年層雇用率(0.12人)を先進国平均水準に引き上げる政策の効果を0.27人と分析した。数理的・統計的分析に基づいた見通しが正しいという保証もなく、政府が出した短期対策もまだ始まりにすぎない。しかし少なくともこの方向で速度を高めていけば2030年まで合計特殊出生率1を回復するという反転の希望は持てるだろう。

問題はその次だ。一つの社会が現在の人口規模を維持するための最低値、代替出生率は2.1だ。長く家族親和的な政策を続けてきたが、欧州の国家もその効果が落ち、出生率が低下している。フィンランド家族連盟人口研究所のアンナ・ロトキルヒ研究部長は年初、フィナンシャルタイムズのインタビューで「経済や家族親和的な政策ですべて解決する問題ではない」と述べた。韓銀の報告書も不安と競争の除去に政策の焦点を合わせることを提案する。もう一度数字について話すなら、首都圏集中緩和効果が0.4、婚外出産比率のOECD平均水準上昇は0.16の効果があるという。分析からは抜けたが、労働市場二重構造の解消も結婚と出産の決心に大きな影響を及ぼす。ところが政府は効果が最も大きな政策はすべて長期課題に回した。推進の過程でぶつかる抵抗と構造改善の費用を対応する考えがないからだ。本当の反転はまだまだだ。

チェ・ヒョンチョル/論説委員