韓国のシンクタンクが警告「ロシアと北朝鮮における軍事同盟関係が完全に回復した」 核武装はさらに進むか

AI要約

ロシアのプーチン大統領が北朝鮮と包括的な戦略パートナーシップ条約に調印し、武力侵攻時の軍事支援を約束。

プーチン大統領はウクライナへの高性能兵器供給に対し、北朝鮮への武器支援も辞さない姿勢を示し、パートナーシップ強化を目指す。

ロシアと北朝鮮の戦略的パートナーシップ強化により、冷戦時代の同盟関係を回復。プーチンが何を提供するかは不明だが、金正恩は洗練された技術分野の開発に注力している。

韓国のシンクタンクが警告「ロシアと北朝鮮における軍事同盟関係が完全に回復した」 核武装はさらに進むか

北朝鮮を訪問したロシアのウラジミール・プーチン大統領は、19日、金正恩総書記と「包括的戦略パートナーシップ条約」に調印した。一方が武力侵攻を受けて戦争状態になった場合は「軍事的およびその他の援助を提供する」とする内容だ。

条約に調印した後の20日におこなわれた記者会見で、プーチン大統領はさらなる威嚇をした。

米紙「ニューヨーク・タイムズ」によれば、「ロシア領内を攻撃した高性能兵器をウクライナに供給し続けるのであれば、北朝鮮を武装させることも辞さないと、米国やその同盟国に警告した」という。

米国が供与した兵器でロシア領内を攻撃することを、ウクライナに許可してきたことへの対応だと見られる。

ソウルのシンクタンク、世宗研究所のアナリストであるチョン・ソンチャンは、ロシアと北朝鮮の戦略的パートナーシップは「韓国と米国の相互防衛条約をモデルにしている」と英紙「フィナンシャル・タイムズ」に語る。そしてこの協定により、ロシアと北朝鮮は「冷戦時代の軍事同盟関係を完全に回復させた」としている。

プーチンが北朝鮮にどのような兵器を提供するかは明言していない。だが金正恩は、核弾頭、ミサイル、潜水艦、人工衛星など、ロシアが保有する「世界で最も洗練された、危険な技術」における分野の開発を進めようとしている。

ロシアはこれまで、北朝鮮による核兵器やミサイル開発を制限する国連の取り組みに参加し、金正恩政権が武器や技術、資源へのアクセスを抑える安保理の決議を承認してきた。

だが今回の訪問では、承認してきた国連制裁の見直しに取り組む考えを示している。背景には「ウクライナを支援する米国の負担を増やすため、また、北朝鮮が保有する膨大な通常弾薬や兵器を必要としている」ことがあると見られる。

プーチンは、北朝鮮による軍事支援を「我々は求めておらず、必要はない」と否定した。

一方、英誌「エコノミスト」によれば、ロシアが2022年2月にウクライナへの侵攻を開始して以来、北朝鮮は同国にコンテナ約1万1000個分の軍需品を輸送したとされている。輸送物資には「砲弾(韓国国防相の見積もりでは500万発)などが含まれている」という。

対するロシアは見返りとして、北朝鮮を経済的に援助するほか、2023年9月以降に少なくとも9000個のコンテナを同国に送っている。

ロシアと北朝鮮が関係を強化させている事態を受け、北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は「権威主義国家がますます連携を深めている」と警告した。フィナンシャル・タイムズによれば、彼は次のように語っている。

「北朝鮮や中国、イラン、ロシアのような権威主義国家がますます足並みを揃えるようになるにつれ、自由と民主主義を信じる国々も、足並みを揃えることがさらに重要になる」