SNSは子どもに有害、たばこと同じ警告表示を 米医務総監が「緊急事態」宣言

AI要約

米国のビベック・マーシー医務総監は、SNSが子どもの心の健康に及ぼす影響を懸念し、SNSアプリに警告表示を義務付ける法案の提出を求めている。

彼は、SNS利用が10代のうつリスクを2倍にする可能性があると指摘し、議会に対して積極的な対策を取るよう促している。

さらに、マーシー氏は警告表示だけでなく、家庭や学校でのSNS利用制限も提案しており、子供たちの健康を守るための緊急性を訴えている。

SNSは子どもに有害、たばこと同じ警告表示を 米医務総監が「緊急事態」宣言

(CNN) 米国のビベック・マーシー医務総監は、SNSが子どもの心の健康を脅かしている現状に対して緊急の行動が求められると述べ、たばこやアルコール飲料と同じような警告表示をSNSアプリに義務付ける法案を提出するよう米議会に促した。

マーシー氏は17日の米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、「若者の精神衛生危機は緊急事態だ。SNSがその重大な誘因として浮上している」と論じた。

その上で、医学誌JAMAに掲載された米医師会の2019年の論文などを引用。同論文では1日3時間以上をSNSに費やす10代は、うつのリスクが2倍になると指摘していた。ギャラップの実態調査によれば、10代がSNSアプリに費やす時間は1日ほぼ5時間に上る。

CNNのインタビューの中でマーシー氏は、子どもたちの95%以上にSNSが普及していると指摘した。

このため同氏は議会に対し、SNSアプリに警告表示を義務付ける法案を通過させるよう求めている。

「私が警告表示を求めるのは、私たちが今知っていることを、保護者にも知ってもらうことが不可欠だと考えるからだ。すなわちSNSの利用に関連した重大な害がある」とマーシー氏はCNNに語った。

たばこに対するこうした警告表示は1965年から制度化され、過去数十年で米国の喫煙率の大幅な減少につながった。

米議会は以前から、SNSは子どもにとって有害だと主張して運営各社を非難している。メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は議会の公聴会で、ネットいじめに遭って自殺した子どもたちの遺族に謝罪した。しかしこれまでのところ、議会はSNSの利用規制に向けた行動をほとんど起こしていない。

今こそ議会が子どものSNS利用規制に真剣に取り組むべき時だとマーシー氏は訴える。

「SNSが安全だという確証が得られ、現在と未来の変化が起きる時まで、保護者に警告する必要がある。それが警告表示だ」と同氏は言い、議会はSNSに警告表示を義務付ける法案をできるだけ早く提出する必要があると強調、「これは喫緊の課題だと考える」と位置付けた。

マーシー氏は何年も前から、SNSが子どもたちの健康を害すると訴えてきた。しかし17日の「緊急事態宣言」と議会への訴えは、この問題に関して最も差し迫った行動要請だった。

ただ、もし警告表示が義務付けられたとしても、それだけでは不十分だとマーシー氏は言い、学校にいる間や、夕食など家族と過ごす時間も子どもにスマートフォンを使わせないことを提言。保護者に対しては、子どもが中学を卒業するまでSNS利用を制限するよう促した。

マーシー氏によると、現在医務総監の警告が表示されているのはアルコールとたばこの2製品のみ。しかしSNSの全般的な健康リスクは「同じくらい根深い」といい、「これは子どもたちの心の健康と幸福の問題だ」と強調している。