《ブラジル》80歳の母親名義で勝手にローン=バレそうになり息子は高飛び

AI要約

息子が母親の名義で8万レアルのローンを組んで逃亡する事件が発生し、高齢女性が公的機関に助けを求める

高齢者が被害を報告する際の障害や問題点について警察や関係者が説明し、支援の重要性を指摘

ピアウイ州では高齢者犯罪に関する警察通報が急増しており、適切な対策が求められる

《ブラジル》80歳の母親名義で勝手にローン=バレそうになり息子は高飛び

 自分を世話するはずの息子が勝手に80歳の母親名義の8万レアル(約230万円)のローンを組み、他州に高飛びして姿をくらます事件が起きた。これは母親の年金から返金する形のローンで、減額に気付いた母親が娘に調べてもらったところ発覚したと15日付G1サイトが報じた。

 おりしも6月15日は、2011年に国連によって定められた「世界高齢者虐待啓発デー」だ。全世界的に高齢化が進み、高齢者への虐待も増加している。この件は今月、ブラジル北東部ピアウイ州都テレジーナ市の公選弁護人事務所を訪れた被害者の女性によって公になった。

 息子は母親に内緒で母親名義のローンを数件借り入れ、その総額は8万レアル以上に上った。

 第一高齢者国選弁護人事務所のサラ・メロ所長によると、この高齢女性の息子は法定代理人であり、母親に代わって行動する委任状を持っていた。彼女はすべてを息子に任せていたため、銀行口座の明細を見ることすらできなかったという。

 メロ氏は「彼女は年金の振り込み額が下がったので、息子に問いただしたが説明してくれなかったという。ある日、彼女は不審を拭えずにもう一人の娘に電話したところ、彼女が銀行支店で母の名前で借り入れられたローンを発見したのです」とG1に語った。

 その高齢女性は、息子がある日突然音信不通になり、自分の面倒を見なくなったため公的機関に助けを求めた。知らないうちに息子は北部パラー州に転居していた。

 メロ氏によると、公選弁護人事務所はパラー州でこの息子の居場所を見つけるのは困難だが、それでも物質的・精神的損害に対する補償を要求する訴訟は進行中だという。

 高齢者が被害状況を報告するのを妨げる主な要因には、電子メディア(携帯電話やコンピューター)に慣れていないことや、公的機関まで出向く際の移動の困難さなどがある。

 高齢者安全保護警察署(DSPI)の代表ダニエラ・バロス氏によると、高齢者が直面している問題を知ることは、彼らが置かれている状況からの脱却を支援することにつながるはずだという。

 同代表は、「多くの場合、高齢者は寝たきりや、まったく動けなかったり、病気が進行していたりする。彼らは援助や介護の不足、見捨てられて苦しんでいる。適切な衛生状態もなく、不健康な環境で暮らしている。だからこそ、第三者からの報告が重要なのです」と強調した。

 今年6月までに、ピアウイ州の警察に登録された高齢者犯罪に関する警察通報は合計879件を記録しており、2023年の同時期の540件を大幅に超えている。