ロシア、宇宙核兵器を開発? 戦場となった宇宙を守るのに韓国がまずやるべきこと(2)

AI要約

宇宙空間での競争が激化しており、北朝鮮の衛星打ち上げや宇宙ごみの増加などが国家安保に影響を及ぼしている。

各国が宇宙軍事力や宇宙技術を高め、衛星迎撃ミサイルや指向性エネルギー兵器の開発に注力している中、宇宙安保への重要性が増している。

宇宙安保には軍事、経済、外交の観点から取り組む必要があり、国際協力や宇宙軍備統制の必要性が高まっている。

◆競争が激しい宇宙空間

韓国も宇宙安保に考慮しなければならない状況だ。まず、北朝鮮が昨年11月23日に「万里鏡1号」偵察衛星を打ち上げた。この衛星は500-600キロの高度で少なくとも一日に2回、朝鮮半島を通過しながら解像度10メートル級(推定)の映像を撮影する。すぐに安保に大きな脅威となるわけではないが、厄介な存在だ。

北朝鮮の衛星打ち上げで南北は「宇宙競争」をすることになった。もちろん韓国がはるかに進んでいるが、最近は朝ロ関係が強まり、北朝鮮がロシアと協力して韓国を追撃する可能性がある。

韓国は昨年11月30日に光学(EO/IR)偵察、4月8日に合成開口レーダー(SAR)衛星を宇宙に打ち上げた。通信衛星「ムグンファ」、観測衛星の「千里眼」、多目的実用衛星「アリラン」などさまざまな韓国の衛星が軌道を回っている。韓国も宇宙で守るべきことが増えたということだ。

宇宙は広いが、衛星軌道はそうでない。赤道上空3万5786キロ上の静止軌道が特に窮屈だ。静止軌道は地球の重力と衛星の遠心力が平行する区間だ。静止軌道に沿って公転する衛星は常に同じ位置にあるように見える。

静止軌道のうち赤道面に沿って描かれた地球同期軌道が特にそうだ。ところが隣の衛星との干渉現象を防ぐには全体360度に3度間隔で、全120基だけを地球動機軌道に乗せることができる。このため韓国は宇宙後発国として宇宙安保のためにここを先に確保する必要がある。

宇宙に漂う宇宙ごみ(Space Debris)も問題だ。寿命を終えた衛星や宇宙ロケット(SLV)構成品が宇宙ごみになるが、宇宙残骸物とも呼ぶ。

欧州宇宙機関(ESA)によると、大きさ1ミリ-1センチの宇宙ごみは1億7000万個、1-10センチのは67万個、10センチ以上は2万9000個が漂っている。このうち米宇宙軍は3万2750個だけを追跡している。残りは行方がよく分からないということだ。

ところがこの宇宙ごみが衛星にぶつかれば衛星が毀損したり使用できなくなったりする。低軌道衛星に大きく依存する6Gが中心になる時、宇宙ごみのために通信がまともに作動しないこともある。宇宙安保が国家安保だけでなく個人の日常生活にも影響を及ぼすことになる。

一部の宇宙ごみは地球に落ちる。米国が1984年に打ち上げて2005年に任務を終えた地球放射収支衛星(ERBS、重さ2.45トン)が昨年1月9日に大気圏に再進入して墜落した。当時、衛星予想墜落地点に朝鮮半島が含まれ、警戒警報が発令された。幸い、衛星はベーリング海に落ちた。

韓国天文研究院によると、全世界宇宙ごみ墜落事故が2018-22年の5年間に884%急増(2018年250件→2022年2648件)した。青天の霹靂でなく衛星墜落を心配しなければならない世の中だ。

太陽がプラズマと磁場を流す太陽風も衛星に悪影響だ。太陽風は11年周期で増減する太陽の黒点と関係があるが、今年から2027年までが最も活動が旺盛という。

◆宇宙力を高めて宇宙安保を守るべき

宇宙安保を守る力を宇宙力(Space Power)とすると、宇宙力の根源は軍事、経済、外交だ。軍事は宇宙力の基盤だ。米国は宇宙軍(Space Force)を創設して宇宙の軍事力を積極的に高めている。SF映画『スターウォーズ』のように宇宙戦闘機が飛び回って宇宙戦艦が砲撃戦をするレベルではないが、宇宙兵器は多様だ。

衛星迎撃ミサイルの衛星攻撃兵器(ASAT)は米国・ロシア・中国・インドが実戦配備した状態だ。レーザーやマイクロ波など高出力エネルギーで衛星を破壊する指向性エネルギー兵器は各国が熱心に開発している。

宇宙兵器に積極的な国が中国だ。中国は2021年にロボットアームが付いた実践(SJ)-17衛星を打ち上げた。中国は宇宙ごみを清掃する衛星と発表したが、米国は中国がこの衛星で米国の衛星を捕らえると懸念した。さらに中国のSJ-21は2022年に他の衛星とドッキングした後、静止軌道より高い墓場軌道に引き上げた。

衛星を最も多く保有する米国はロシアと中国の脅威に対応するために警護衛星システムを開発している。また故障した衛星を宇宙で修理する地球同期軌道ロボットサービス(RSGS)も研究中だ。

最近注目されるのは衛星ハッキングだ。チャン・テヒ慶煕大コンピューター工学科教授は「人工衛星システムは特殊目的に最適化し、従来のセキュリティー技術を適用するのが難しく、衛星通信は待機時間が長く、アンテナを衛星に指向しなければならないなど衛星セキュリティー問題が起きる可能性がある」と指摘した。ジャマーで地上と衛星間の通信を妨害することも可能だ。

経済的宇宙力は宇宙産業が発展しながら重要になった。民間の宇宙技術は軍事的に活用することができ、宇宙産業は軍事的宇宙力の土台を用意する。米国は特に米国は国防総省と商業用衛星産業を統合しようとしている。

宇宙開発は対立よりも協力に基盤を置く必要があるが、新冷戦は障害だ。米国が主導する月探査計画アルテミスにインドが協力の意思を明らかにし、ロシアと中国は2021年に有人月基地建設協力の意思を明らかにした。このために外交的宇宙力も発揮しなければならない。宇宙ごみと宇宙交通管理に対する国際秩序を作り、さらに進んで宇宙軍備統制を模索しなければならないからだ。

オム・ジョンシク教授は「韓国は宇宙開発振興基本計画を立てて宇宙航空庁を発足させた」とし「宇宙安保も大統領室が動き出し、『宇宙安保戦略』を作って総括しなければいけない」と提言した。