北朝鮮のエリート一家に生まれた男性「腐敗と強制支配は長続きしない」と金正恩氏を批判

AI要約

国連安全保障理事会は北朝鮮の人道状況に関する会合を開き、亡命した元北朝鮮エリートの証言が行われた。金正恩政権の腐敗と強制支配が批判され、国際社会から北朝鮮の人権侵害が非難された。

キム・グンヒョク氏は中国留学を経て韓国に亡命し、北朝鮮の独裁的状況を告発。家族との連絡が途絶えている状況で、若者たちに自由と民主主義を訴えた。

会合には中国やロシアが北朝鮮擁護の姿勢を見せ、議論が分かれたが、日米韓など多くの国々が北朝鮮の人権侵害を非難する声明を発表した。

 【ニューヨーク=金子靖志】国連安全保障理事会は12日、北朝鮮の人道状況に関する会合を開いた。会合では北朝鮮から韓国に亡命した男性キム・グンヒョク氏が出席し、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記を「腐敗と強制支配による統治は長続きしない」と批判した。

 エリート一家に生まれたというキム氏は現在30歳代。家族が金正恩氏への忠誠を誓っていたことを認められて中国に留学した。そこで初めてネットを利用し、北朝鮮が「世界から羨望される国」ではなく、飢餓や弾圧など「独裁者が支配する国」だと知ったという。

 2011年冬、北朝鮮からの留学生仲間とそうした問題を議論したところ北朝鮮当局に見つかり、キム氏は逮捕を逃れるため韓国へ亡命した。以来、家族と連絡が取れていないという。

 キム氏は「演説を聞ける北朝鮮の若者たちに聞いてほしい」と呼びかけ、「未来はあなたの手の中にある。自由と民主主義のある国に変えてほしい」と訴えた。

 会合では、国連の高官らが、北朝鮮の国民は海外ドラマの共有や韓国語の読み書きをしただけで死刑になる可能性を報告。各国からは北朝鮮の人権侵害への非難が相次いだが、中国とロシアは北朝鮮を擁護して会合自体を批判した。会合に先立ち、日米韓など57か国と欧州連合(EU)は「国民を搾取し、兵器開発の財源を生み出している」とする非難声明を発表した。