インド・モディ政権、3期目発足 就任式で中国けん制、内政に課題

AI要約

インド人民党(BJP)を率いるモディ首相が3期目をスタートし、就任式が行われた。近隣諸国やインド洋の島国の首脳も招待され、中国に対抗する姿勢を示している。

モディ政権は引き続き、中国の脅威に対抗するために米欧や日本との関係を強化し、ロシアとの伝統的な友好関係も維持する方針だ。初の外遊はイタリアに参加予定。

国内では与党連合の結束が求められ、地域政党との協力が重要。経済格差の解消や各地域の発展に向けた政策が求められる。

インド・モディ政権、3期目発足 就任式で中国けん制、内政に課題

 インド下院の総選挙で勝利したインド人民党(BJP)を率いるモディ首相は9日夜、首都ニューデリーの大統領官邸で就任式に臨み、3期目がスタートした。就任式には近隣諸国とインド洋の島国の首脳も招待され、海洋進出を強める中国をけん制する姿勢を示した。一方、今後も安定的な政権運営を続けるには連立を組む地域政党との協力が欠かせず、与党連合内の結束を維持できるかが焦点となる。

 9日の就任式には、スリランカ、バングラデシュなどの近隣諸国とインド洋の島国の計7カ国の首脳が招かれた。招待された首脳には、インドが中国と勢力を競い合うインド洋の島国モルディブのムイズ大統領も含まれた。昨年11月に就任したムイズ氏は親中派で、インドとの関係悪化が懸念されていた。

 モディ氏のX(ツイッター)には総選挙の開票後、さまざまな国から祝賀の投稿が寄せられたが、モディ氏は台湾の頼清徳総統からの祝意の投稿には「より緊密な関係を期待している」と返信。一方、中国外務省報道室の祝意の投稿に対しては、インド外務省報道官が「印中関係の正常化に向けた努力を続ける」と返信するにとどまった。中国外務省はモディ氏の投稿が、台湾を自国の一部とする「一つの中国」の原則に反するとして批判した。

 モディ政権は引き続き、中国の脅威を念頭に米欧や日本との関係を深めつつ、伝統的な友好国であるロシアとの関係も維持する方針だ。インドメディアによると、モディ氏の3期目の初外遊はイタリアとみられ、招待された主要7カ国首脳会議(G7サミット)の関連会合に14日に参加する見通しだ。一方、ウクライナ侵攻の和平案を協議するために15、16日にスイスで開催される「世界平和サミット」については、モディ氏ではなく他の政府幹部が参加する可能性が報じられている。サミットに招待されていないロシアへの配慮とみられる。

 一方、足元の国内政治に目を向けると、与党連合内で結束を高めることが喫緊の課題だ。与党連合内では、BJPが小選挙区543議席のうち240議席を占めた一方、地域政党のテルグ・デサムは16議席、ジャナタ・ダル(統一派)が12議席を獲得した。しかし、ジャナタ・ダルは総選挙前の1月に野党連合を離脱して与党連合に合流した経緯がある。

 9日の就任式では、与党連合を構成する地域政党の意向をくむ形で、複数の地域政党の幹部が閣僚に就任した。各地域政党は、地盤とする州の経済発展のための補助金や減税措置なども求めている。モディ政権は地域政党の要望を取り入れつつ、経済格差に対する不満解消に取り組む必要がある。【ニューデリー川上珠実】