外信コラム 北朝鮮ゴミ物語 紙くず、吸い殻、家畜のフン 超閉鎖国家の実態知る貴重な情報

AI要約

北朝鮮から風船で送られた〝ゴミ爆弾〟が話題となり、これは国家的な嫌がらせの一環だが、北朝鮮のユニークな行動として注目されている。

北朝鮮は韓国から送られる風船の内容を「スレギ(ゴミ)」と呼んでおり、今回のゴミ送りはそのお返しだ。また、北朝鮮は韓国の要人に対する罵倒として「人間スレギ!」という言葉をよく使用している。

北朝鮮のゴミは情報源として貴重であり、先年には北朝鮮研究者がゴミ箱を探ることで当局に捕まる事件があった。今回のゴミも家畜のフンなどから北朝鮮の実態が垣間見える可能性がある。

北朝鮮から風船で飛んできた〝ゴミ爆弾〟が話題である。紙クズや布切れ、ビニール片、タバコの吸殻などのほか、家畜のフンも入っていた。韓国に対する国家的嫌がらせだが、ミサイルや核兵器による脅しの一方でゴミ風船とは! 北朝鮮は実にユニークというか、異形の国であることを改めて実感させられた。

今回なぜゴミを送ってきたかというと、韓国から民間団体が北朝鮮に風船で送り込んでいる北の体制批判のビラや映像資料、紙幣、食べ物などの宣伝物を、北では「スレギ(ゴミのこと)」といっているので、そのお返しというわけだ。ちなみに北は韓国の要人などへの悪口でよく「人間スレギ!」といっている。

北朝鮮のゴミで思い出すのは先年、北朝鮮研究者の宮塚利雄・元山梨学院大教授が平壌を訪問した際、ゴミ箱のゴミをあさって北当局に捕まったことだ。ナゾの超閉鎖国家・北朝鮮の実態を知るにはゴミは貴重な情報なのだ。当時、宮塚先生の研究熱心と鋭い感覚に感心したが、今回の風船のゴミも見方によっては貴重である。家畜のフンを分析すればエサなど北での飼育状況が分かる。

また人のフンを送ってこなかったのは食糧事情がばれるからではなかったか? あるいは肥料として貴重なので惜しんだか?(黒田勝弘「ソウルからヨボセヨ」)