【社説】あいまいな事業性で政治計算の対象になる東海油田=韓国

AI要約

東海油田開発が政争に巻き込まれ、野党が疑念を示す中、国会レベルで徹底的な点検が必要とされている。

可能性の高い石油・ガス埋蔵に関するアクトジオの専門性を巡る論争や国際信用評価会社の慎重な見解が混乱を招いている。

韓国の重要なエネルギー安全保障に関わる問題であり、経済性や事業性についてより明確な説明が求められている。

産油国の夢に向かっていた「東海(トンヘ、日本名・日本海)油田」開発が政争に広がる状況だ。最大野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は昨日、フェイスブックで「十中八九(成功確率最大20%)失敗する事案に全額国民の血税を投入するのも心配だ」とし「国会レベルで徹底的に点検しなければいけない」と述べた。民主党のノ・ジョンミョン院内報道官もこの日の論評で「大統領の支持率が20%を割りかねないという危機感から企画された局面転換用の政治ショー」と批判した。

3日の国政ブリーフィングで尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が浦項(ポハン)の迎日湾(ヨンイルマン)沖に140億バレル規模の石油・ガスが埋蔵されている可能性が高いという物理探査の結果が出たとし、探査試錐計画を承認したと明らかにすると、「国会レベルで支援を惜しまない」と論評した野党が、3日後には攻勢モードに転じた。野党の転換には政局の主導権を奪われまいとする計算が作用したが、東海油田開発に釈然としない点があることも否定できない。

最初に出てきたのが、東海油田の石油・ガス埋蔵の可能性を確認したコンサルティング会社アクトジオの専門性をめぐる論争だ。売上高がわずかしかない「1人企業」にすぎないという報道が続き、技術力に対する疑問が強まった。結局、同社の代表を務めるビトール・アブレウ博士が7日、記者会見のために韓国を訪問した。実現の可能性に対する懸念も少なくない。国際信用評価会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は4日の報告書で「埋蔵量探査が商業的生産につながる可能性は非常に低い」とし、あまり興奮するべきでないと強調した。実際、1976年に迎日湾での石油発見が発表されたが1年後には開発が中断し、1998年の蔚山(ウルサン)沖で発見されたガス田もわずか4500万バレルのガスを生産しただけで閉鎖された。

疑惑をさらに強めたのは、政府が大規模な石油・ガスが埋蔵されている可能性が高いと明らかにした8鉱区と6-1鉱区の北部地域で、韓国石油公社と2007年から15年間にわたり深海ガス田探査を共同遂行したオーストラリア最大石油開発会社ウッドサイドが昨年1月に撤収したという報道だ。事業性が低いという判断から手を引いたという。同じ地域の埋蔵量に対する異なる判断のため混乱が深まるしかない。

エネルギーの98%を輸入に依存する韓国が国内で安定的なエネルギー供給源を確保するのは、エネルギー安全保障のために国家的に極めて重要なことだ。にもかかわらずこの件が政治的計算の対象になるのは、経済性や事業性に関する明確な説明が不足している影響が大きい。「サムスン電子の時価総額の5倍水準の価値」とバラ色の展望ばかりしたのも国民に対する希望拷問にすぎない。7日の記者会見で各種疑惑を減らす答弁が出てくることを期待する。経済性を徹底的に問いただして油田開発に入れば政争が入り込む余地はない。