[社説]大統領が「ボーリング調査」承認段階の計画を自ら発表するのは異常だ

AI要約

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がボーリング調査計画を承認したが、その発表のタイミングや誇張された表現から疑念が生じている。

ボーリング調査は経済性を確認するためのものであり、実際の埋蔵の有無の確認には数年かかる可能性がある。

政府は国民に探査計画の検討過程や進行状況を適切に説明する必要がある。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が3日、産業通商資源部の東海(トンヘ)深海の石油・ガス田に対するボーリング調査計画を承認した事実を自ら発表したことは、色々な面で異常と言わざるを得ない。国民に重大懸案を直接報告する形の国政ブリーフィングを大統領就任後初めて行う場で発表するほどの事案だったのか、疑念を抱かせる。「最大140億バレルに達する石油とガスが埋蔵されている可能性が非常に高いという結果が出た」という発言はボーリング調査の意味を非常に誇張したものだ。油田開発の期待で国民に希望を与えようとしたのなら、暮らしの問題が最大の懸案である局面にはふさわしくないことだ。多く面で首をかしげざるをえない。

 発表の主な内容は、大統領がボーリング調査計画を承認したということだ。これまで物理探査を経て埋蔵可能性が高いという評価が出たが、多額の費用がかかるボーリング調査に進むかどうかを検討した結果、少なくとも5カ所を調査してみる必要があると結論付けたという内容だ。

 このようなことなら産業部が発表するのがふさわしいだろう。ところが産業部は、大統領室が電撃発表を行うことを発表直前に知らされたという。市場への影響を考え、極秘裏に進めたのなら、株式市場の開場前に発表すべきだったのに、発表は午前10時に行われた。ボーリング調査は経済性を確認するためのものだが、大統領の発表に同席したアン・ドクグン産業部長官は「迎日(ヨンイル)湾の石油・ガス埋蔵価値がサムスン電子時価総額の5倍ほど」だと述べた。このような発言の目的が株式市場に肯定的な影響を与えることならば、短期目標は成し遂げたと言える。油田開発関連株価が3日から2日連続で上限まで上がるなど暴騰した。

 しかし、ボーリング調査を経て実際の埋蔵の有無を確認するだけでも、これから数年はかかる。韓国石油公社がこれまで東海、西海(ソヘ)、南海(ナムヘ)で48つのボーリング孔を開けたが、2004年から2021年まで原油4500万バレル分の天然ガスの生産に止まった「東海-1ガス田」だけが成功したことは周知の事実だ。市場はすぐに落ち着くだろう。

 4・10総選挙で与党が惨敗した後も、大統領が「(海兵隊員)C上等兵特検法」に拒否権を行使するなど、政局運営を何も変えなかったことで、支持率がさらに低下した。今回のイベントがそれへの対応ならば、幼稚な発想と言わざるを得ない。さらなる失望を招くだけだ。ボーリング調査にはボーリング孔1つに1千億ウォン(約120億万円)以上かかる。全てを棒に振る可能性もある。政府はまず「探査計画」の承認が徹底した検討を経て妥当に行われたのかを国民が納得できる形で説明しなければならない。

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