米、中国軍がパイロット育成で欧米軍人を高額で勧誘と非難 ファイブアイズ共同文書発表

AI要約

米国家情報長官室(ODNI)は、中国人民解放軍が欧米諸国の現役軍人や元軍人を高額の給料で指導役に勧誘していると非難し、関係者に注意を促す共同文書を発表。

中国軍が民間企業や民間訓練センターを通じて欧米の元戦闘機パイロットを採用し、航空作戦の能力向上を図る姿勢に批判が集まっている。

米英豪、カナダ、ニュージーランドによる共同文書では、中国の勧誘を受けた人たちに対し各国の機関や軍に連絡するよう呼びかけている。

【ワシントン=坂本一之】米国家情報長官室(ODNI)は6日までに、中国人民解放軍が戦闘機パイロットを育成するため、欧米諸国の現役軍人や元軍人を高額の給料で指導役に勧誘していると非難し、関係者に注意を促す米英、オーストラリアなど5カ国による共同文書を発表した。

ODNIは、中国軍が民間企業を活用して関係を隠し、「法外な給料」で欧米諸国の人材を積極的に採用していると指摘。「欧米の現役・元軍人が仲間を危険にさらし、国家の安全保障を損なう」と強調し、注意喚起した。

共同文書では、中国が空軍や海軍の訓練のために南アフリカや中国の民間企業を使って米英豪やカナダ、フランス、ドイツなどの元戦闘機パイロットを採用していると説明。中国軍は「欧米の航空戦術や技術」などを通し、航空作戦の能力を高めようとしていると批判した。

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、中国軍は訓練センターを南アやケニア、ラオス、マレーシア、シンガポール、タイなど複数の国に設置している。実際に採用された人数は明らかにされていないが、少なくとも30人の元英パイロットを含め数十人に上るという。報酬として数十万ドル(数千万円)が支払われるとしている。

共同文書を発表したのは米英豪、カナダ、ニュージーランドで、英語圏5カ国による機密情報共有枠組み「ファイブアイズ」のメンバー。勧誘を受けた経験のある人たちに対し各国の機関や軍などに連絡するよう呼び掛けている。