欧州議会選6日から投票 支持広げる極右・右翼政党 経済低迷や移民急増への不満受け皿に

AI要約

欧州議会の選挙で極右や右翼政党が台頭し、議席を増やす見通し。

ドイツの極右政党AfDがユーロ反対や移民受け入れ反対を主張し支持を広げる。

他の加盟国でも極右や右派の台頭が見られ、欧州全体で右傾化が進行している。

【パリ=板東和正】欧州連合(EU)の立法機能を担う欧州議会の選挙の投票が6日から始まる。最多の議席数が割り当てられているドイツなどでは極右や右翼政党が議席数を増やす見通し。経済低迷や急増する移民への不満の受け皿として支持を広げ、欧州の右傾化傾向を強めている。

■独極右政党、ユーロ反対掲げ結成

欧州議会選(定数720)は9日まで行われ、加盟27カ国で各国の人口比に応じて配分された議席が争われる。

最多の96議席が割り当てられるドイツでは、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が議席を大幅に伸ばす勢いだ。欧州大手放送局ユーロニュースなどはAfDが現有議席から10議席以上上乗せすると予想する。

AfDは2013年、欧州単一通貨「ユーロ」への反対を掲げて結成された。その後、移民・難民の受け入れ反対を主張するなど右傾化を強め、旧ソ連圏で経済発展が遅れた旧東独地域を中心に支持を拡大した。昨年12月の独東部の市長選ではAfDの候補者が初当選。今年9月に行われる旧東独地域の3州議会選挙で第1党となる公算が大きい。

■仏、スペイン、オランダでも…

ドイツはロシアのウクライナ侵略に伴うインフレが重しとなり、景気が低迷。失業者数も増加し、若い世代を中心に移民や難民に仕事を奪われる恐怖におびえる国民が多くなった。ドイツにはシリアやアフガニスタンなどから難民が押し寄せ、昨年、ドイツでの亡命申請者数は35万人を超えた。

独メディアによると、AfDの一部の議員は移民を「家畜」と呼び、国外追放を呼びかけている。AfDの支持者は「国民の生活を守るためには強い姿勢で移民を追い出す必要がある」と擁護する。

AfDは、欧州議会内でEUに懐疑的な極右の会派である「アイデンティティーと民主主義(ID)」の一翼を担っていたが、AfDの欧州議会選候補がナチス・ドイツを擁護する発言をしたため会派から5月下旬に除籍された。親露派のAfDは、露情報機関と緊密に連絡を取り合っている疑惑も浮上している。ただ、相次ぐスキャンダルにもかかわらず党の人気は根強く、「支持率が落ちることはない」(専門家)とみられる。

他の加盟国でも極右や右派が台頭。ドイツの次に多い81議席が割り当てられるフランスでは、移民制限などを訴える極右政党、国民連合(RN)がマクロン大統領率いる与党連合に圧勝する勢いをみせている。スペインやオランダなどでも移民の受け入れに反対する極右政党が議席を増やすと予想されている。